第128話 久しぶりだにゃ!!
「久しぶりだにゃ!!」
「「にゃ?」」
私とサリアが振り返ると、以前街の本屋さんに寄った時に対応してくれた猫人族の店員さんが私の後ろに並んでいた。
店員さんは私たちにすごい期待の眼差しを向けているが、何かあったっけ?
「あの本はどうなったにゃ!! ずっと気になっていたのにゃ!!」
「あっ。」
「もしかして、忘れてたにゃ?」
「もっもちろん覚えてるよ。あれだよね。あれ。」
「そうにゃ!! どうだったにゃ?」
「……。」
マジでなんだっけ……。
何か大切な本を買ったと思うんだけど、全く思い出せない。何か大切な約束をした気をするし……。
……。
あの時料理に目がなかったはず。
……料理?
料理本だ!!
確か紗夜ちゃんが昔作ったって言ってた料理本じゃなかったっけ。
「あれはね、古代の料理本だったんだよ」
「にゃ?! 古代の料理本!! それはすごい興味があるにゃ!! もし学校に受かったら、どんな料理か教えて欲しいにゃ!!」
「もちろん」
「嬉しいにゃ!! せっかくだから、三人で食べるにゃ!!」
「「賛成!!」」
私たちは受付で料理を注文し、少し離れた席に着いた。
私たちが白米を頼んでいて、「それ美味しいにゃ?」とすごい不思議そうな顔で見られたので、少し交換することになった。
「そういえば名乗ってなかったにゃ。ニーナと言うにゃ!! 二人の名前は?」
「私がアリアで、こっちが妹のサリア。」
「サリアだよ!! よろしくね。」
「よろしくにゃ!!」
「それにしても、午後から実技試験だからいまいっぱい食べて元気出さないとにゃ!! それにしても、その焼き魚すごい美味しそうだにゃ。焼き魚だけ単品で置いてあったらうれしかったんだけどにゃ。」
「そんなこといわないで、一度白米食べてみて!!」
「食べてみるにゃ!!」
私は受付で小皿を貰ったので、白米と焼き魚を取り分け、サリアは野菜炒めを盛った。
「いただきますにゃ!!」
ニーナは、はしではなくフォークに白米と焼き魚を乗せて口の中に入れるとすごい幸せそうな顔をした。
「美味しいにゃ。なんでこんなに美味しいんだにゃ? この焼き魚が美味しいのはわかるんだけど、こっちの白米? との相性がこんなにいいのが驚きにゃ!! もっと色んな魚と白米で食べてみたいにゃ!!」
「これはね、人族の料理なんだよ!! こっちに人族の料理店があってすごい美味しかったから、今度行った方がいいよ!! 絶対にほっぺ落ちちゃうよ。」
「それは楽しみだにゃ!! 明日は魚と白米で決定にゃ!!」
しっぽをフリフリと振りながら食べているのですごい上機嫌なのが伺える。
食事中に次の試験の話をしていたら、同じ時間にすることがわかったので昼食を食べた後一緒に校庭に移動した。
いつも嫉妬してくるサリアも、ニーナには一切嫉妬しないし、この調子で友達になれたらいいな。
その前に受からないとだね!!
「これから、試験を開始します。試験内容は、自分が使える属性を宣言した後に最大級の魔法を10メートル離れたところにあるあの人形兵に向けて撃ってください。そこらの魔法では壊れたりしないので、心配なさらず本気でお願いします。では、一番の方からお願いします。」
「はい!!」
そうして、試験は始まった。
一番最初に魔法を撃つ方を基準にしようと思ったが、すごい弱々しい火球が的に当たるが、ポンっと効果音がなりそうな感じ。しかも、次の受験者も……。
魔力量的にはあんな魔法より強い魔法を撃てるはずだと思っていたが、魔力の使い方が分からない時を思い出して納得した。
あのレベルで受かるなら、絶対に大丈夫だね。早く学校に通いたいな。と胸を踊らせる。
「お姉ちゃん……。あれぐらいで受かるのかな? 絶対におかしいよ。もっと強くないと受からなそうだから、あれより少しだけ強いぐらいでいいかな?」
「うーん。どうだろう。」
「やっぱり二人ともあのレベルじゃないにゃ? 少しだけ魔法の使い方を習ったから、みんなの魔法より強いの撃てるにゃ!! みんなを驚かせるにゃ!!」
「!! やっぱりそうだよね!! 良かった。お姉ちゃん、頑張るよ!!」
「うん!!」
その後も多くの受験者が魔法を撃っていたが、最初撃っていた方とあまり変わらなかった。
そしてついにニーナさんが次魔法を撃つ順番になった。
これを基準にするぞ!!
「頑張るにゃ!!」 と行って試験者の立つ場所に行ったニーナさん。本を探す魔法を使えるぐらいだから、みんなと格は違うと思うがどれほど違うのだろうか?
「我ここに。自然の元よ。集まれ。集まれ。水球!!」
右手を前方に伸ばし詠唱を唱えると、手から少し離れた場所に魔法陣が浮かびそこから水球が出現する。
込められた魔力も今までの生徒とは格別だ。
私は楽しみにしていると、的に向かい勢いよく飛んでいく。魔法が的に着陸する時間は今までで1番だろう。
バン!!
「!!」
今までビクともしなかった的がすこしだけ揺らぎ、その後的が滴る感じになった。
「すごいぞ、あれだけの魔法が撃てるなんて……。」
「あれだけ撃てれば特待生か?」
「俺たちはギリギリなのにな。」
「すごいですよ。ニーナさん!! 将来が楽しみですね!!」
「ありがとにゃ!!」
教員に褒められて嬉しくなったニーナさんはしっぽをフリフリしながら、私たちの元に帰ってきた。
「どうだったにゃ? 頑張ったから、みんなよりもいい魔法が撃てたにゃ!! 次頑張ってにゃ!!」
「ありがとう、頑張るよ!!」
サリアは手を握り閉めてすごいやる気を出している。
サリアが魔法を撃つ位置に行くと同時に
「エルフだぞ!!」
「あの、古代から生きてると噂の!!」
「それにしてもあの美しさ、魔法も強ければ何もいうことが無さすぎる」
などすごい期待がされている。
サリアは、そんなことを気にせず私とニーナさんを見て元気よく手を振る。
それと同時に私たちに視線が移り、またワイワイと外野が話し出す……。
はぁ。エルフだからって騒ぎすぎ
「我ここに。自然を燃やせ。どこまでも。集え。集え。火球!!」
詠唱が終わる同時に右手を前に出し、そこから魔法陣が出現し火球が現れる。
魔力的に相当押えているのはみえるが、この試験者の中では圧倒的に大きい火球が出現し、的に当たると同時にプチ爆発が起きる。
「なんだ、あれは……。」
「あれが俺と一緒の受験生……。」
「あれは下級魔法では無い。そんな魔法を使えるなんて……。」
「「……。」」
私の隣にいるニーナだって、口をポカンと空けて全く動かなくなっちゃったし、サリアやりすぎだよ!!
はぁ。私はどれぐらいの力で魔法を撃てばいいのか……。
次回予告。
やっと私の番か……。って、どれぐらいの魔力を込めて撃てばいいか結局分からなかった!! えっ。また勇者の弟が次回に登場?! もうあんなやつと会いたくないよ!! あいつと一緒に学園生活とか地獄の極み……。校長先生助けて!!
次回、初めて会うエルフ? お楽しみに!!