第127話 ついに実施ペーパーテスト
「試験は学校でやるんだって、サリア行くよ」
「お姉ちゃん待ってよ!!」
私たちは朝の準備を済まし、これから学校側に行きペーパーテストを受ける。
しつこいぐらい何度も言うが、本当にノー勉なのである。
このような大切な試験をノー勉で受ける方はいるのだろうか?
しかも、どのような内容が出るかも知らされていない。
里のみんなは大丈夫。絶対に受かるよ。と私たちを安心させているのか?はたまた、からかっているのか?私はよく分からない現象にドキドキが止まらない。
「お待たせ!!」
私とサリアは受付を出て学校に向かう。
ちなみに、昨日勇者の弟の女子寮侵入事件は発生しなかった。
魔力探知をしたが、学校側にずっといたので医務室にまだいるのだろう……。
本当に関わりたくない。
サリアと話しながら歩いていると、所々受験者の姿が現れてきた。
私たちのように私服の方もいれば、この世界のスーツ的存在の服装をしている方まで様々な服装が見られる。
それに、種族も私たちエルフの他に犬族、人族、ドラ人族、ドワーフ、猫人族といった多くの種類が見受けられ、この学校がどれほど優れているかが分かる。
「おおっ。エルフじゃん、ラッキー。絶対にこの学校に受かるわ。」
「いや、お前の学力じゃ無理だろ。せめて記念受験で終わりになるんだな。」
「そういうお前の方が成績悪いじゃん」
「……。それは言わない約束だろ。」
「「彼女にしてぇ」」
「「……。」」
そんな声があちらこちらから聞こえて来るが、私はそんなことをほっといてサリアと仲良く指定された教室に入る。
「それではこれから試験を開始します。試験中は魔法を使うことを禁止しています。もし使用が発見された場合はその時点で失格となりますのでご了承ください。もちろんカンニングも失格です。何か疑問がございましたら挙手でお願いします。それでは試験用紙を配布しますので、私語は慎んでください!!」
私は隣に座っているサリアにウインクで「頑張ろうね」と合図を送ると、サリアからウインクが帰ってきた。
よし、どんな内容か分からないが頑張るぞ!!
……。
……。
これが試験問題……。
試験の内容は、このキノコは毒があるかどうかの有無や飲水の確保方法などといったエルフなら子供の時に誰でも教わる内容だけしかなかった。
なんだよ。だからみんな受かるよ。しか言ってくれなかったのか。
試験の内容も教えてくれても良かったのに。それが知ってたら、安心して試験に受けられたのに。
私はスラスラと空欄を埋めていき、残りの時間でどんな料理を作るか。と考えることを4、5回してペーパーテストは終了。
呆気なかったな。
「お姉ちゃん試験簡単だったね!! 当たり前のことしか出ないんだから、びっくりしちゃったよ。あとは実技試験だね!!」
「ほんとにびっくりだよ!! あんなに簡単なんだったら、なんでみんな教えてくれなかったんだろうね? 意地悪だよね」
「意地悪だよ!!」
サリアはほっぺを少し膨らました後、私と目があってクスクスと笑う。
その光景を周りの方が見て、私たちのことを輝かしい目で見ていたが、その時は気づきもしなかった。
「ピンポンパンポン!!
受験生の皆さん。お昼は食堂にて無料配布しておりますので、ご利用ください。
ピンポンパンポン」
「!! お姉ちゃんお昼だよ!! 試験で頭いっぱいで忘れてたよ。結局持ってきたものしか食べてこなかったから、どんな料理があるのか楽しみだよ!!」
「ついに学食を食べる時が来たか!!」
「学食?」
「学校側が提供してくれるご飯のことだよ!! 安くてボリュームがあり、美味しいらしいよ。何食べよっかな?」
「安くて、ボリュームで美味しい?! そんなに最強のメニューがあるなんて!! お姉ちゃん早く行くよ!!」
「ほらほら、慌てない!!」
私はサリアに手を引っ張られて学食に向かう。
学食の場所は昨日パンフレットで確認し、サリアがすごい楽しみにしていたので間違えることはないだろう。
私たちが手を繋ぎながら走っていると、周りからキラキラとした目で見られながら食堂に到着した。
走ってきたから、並ばずに注文できるかな? と思っていたが、甘い考えだった。
既に10人程受付に並んでる上に、メニューが決まってから並んでください。と大きく書いてある。
私たちがメニューを決める頃にはもっと混むはずだから、早めに決めたいがら初めての学食だからな……。
「お姉ちゃん、大変だよ!! メニュー名しか乗っていないから、どんなお昼ご飯になるか分からないよ!! どうしよう。?! ご飯付きが二つしかないよ……。美味しいのに。」
サリアは、私が列を見ている間にメニュー表を取ってにらめっこをしていた。
私も慌ててメニュー表を取り眺めているが、パン系が多く、白米メニューが2種類、そして、麺類は一つもないメニューだ。
白米メニューは、白米、味噌汁、焼き魚のセットと、野菜炒め物verセットだ。
白米メニューが少ないのは困るな。
「最近、お米ばっかり食べちゃってるから、お米がないと満足しない体になってきてるよ。そういえば、ここは人族中心の王都だったよね? なんでお米がこれだけしかないのかな?」
「人族の王都でも、学校にいる方々は人族以外の方が多いから、しょうがないのかな? みんなもお米の魅力を知ってくれればこんなことにならないのにね。とりあえず、今日はご飯を食べたいから焼き魚セットを食べるかな。何か困っても、部屋にコンロとか付いてるから自分たちで料理すればいいし。」
「確かに!! お姉ちゃん頭良い!! 私は野菜炒めにするからシェアしようね!!」
私たちはメニュー表を置いて慌てて受付の列に並んだが、既に二十人近く並んでいた。
私たちが並ぶと共に、
「あの子可愛い!!」
「絶対友達になって見せますわ!!」
「あの空間を絵に書き留めたい!!」
などと言う声が聞こえるが、私は無視して並んでいると、後ろに並んでいる方に突然声をかけられる!!
……。
勇者の弟ではありませんように。
勇者の弟ではありませんように。
次回予告
久しぶりにゃ!! もしかして、私の存在忘れちゃったにゃ?! あの時あった猫人族の店員だにゃ!!
あれ?思い出せない? そんなのないにゃ!! 早く思い出してにゃ!!
次回 第128話 久しぶりだにゃ!! お楽しみに!!