第119話 今度の目的地は安全なのか?!
「はい、次!!」
私たちは修行旅で初めての街に寄るためにいま検問の列に並んでいる。
契約している馬のマウとユンは近くで送還し、馬車はお母さんが収納魔法に閉まってくれた。
私たちの前には、3グループだけだったのですんなり入れる予定だ。この街では、前回の勇者事件みたいなことがないといいな。
「お姉ちゃん、着いたら何食べよっか? やっぱりパン屋行く? それとも、特産品でも食べる? 人族の料理とかあるかな? まだ食べたことがない料理とかあるかな?」
「サリアはどういう系の料理が食べたい? こってり系? あっさり系?」
「白米に合う料理!! でも、パンも食べるよ!!」
「本当にサリアは白米が好きだね。」
「ちょっと待って。普通のお店では白米が置いてないわ」
「……えっ。」
サリアは少し悲しそうな顔をする。
それほど白米が気に入ってくれたのだろう。
少しでも元気を出して欲しいので、今日の夕食は、白米に合う料理をレシピ本から見つけることが決定した。
私としては、パン屋に寄りたいな。
以前言った街では見たこともない珍しいパンが何種類も売っていたから、この街でも珍しいパンが売ってることに期待している。
「はい、次!!」
そうして私たちの番にやってきて、石にギルドカードをかざし難なく街に入ることが出来た。家の作りなどはこないだいった街に非常に似ている。
もしかして、どこの街もこのような作りになってるのかもしれない。
とりあえず、冒険者ギルドで地図を貰わないとね。あと情報も。
私たちは冒険者ギルドの場所を検問の方に聞き、ギルドに向かって歩いているが、その途中に何店舗も露店を見つける。
アクセサリーや肉串、煮汁、果物などが販売されていて、先程からいい匂いがそこら中に漂ってお腹がすいてきた。
「お姉ちゃん、すごいいい匂いだよ。こんなにいい匂い嗅いだらお腹すいちゃったよ。ちょっとだけ買い食いしない?」
「買い食いしたい気持ちは凄くわかるんだけど、ここで食べすぎて後で食べられなくなるのはな……。」
「食べられなくなったのなら収納魔法に入れとけば問題ないじゃないの。」
「確かに!!」
私たちの後ろについてきているお母さんがナイスアドバイスをくれる。
ちなみに紗夜ちゃんはぬいぐるみのままで、お母さんが持っているトートバッグから頭が飛び出ている形だ。
「お姉ちゃん、まずあそこのお肉屋さん行こうよ。みてよ。肉串から肉汁がポタポタと垂れてジュっと鳴ってるよ。もう私のお肉食べたい欲が我慢できなくなっちゃったよ。」
「行こっか。すみません。」
私たちはすぐ近くの肉串店に行き、人数分の肉串を買い食べながら冒険者ギルドを目指すことになった。
それにしても美味いな。なんのお肉か分からない点がなんとも言えないが、焼きすぎずちょうどいい焼き具合。硬いわけでもなければ柔らかいわけでもなく、ちょうどいい噛みごたえ。一口かむごとに肉汁がドバっと出てくるこの肉串を手軽で買えるとは……。
この世界すごいな。
そんなことを考えながら肉串を食べていると、すぐに冒険者ギルドに到着した。
肉串はギルドに着く前に食べ終わり串は収納魔法に閉まってある。
このギルドは、入口のドアは扉式になっていて、既に解放されている感じだ。
私たちが冒険者ギルドに入るが、誰も恐怖的な顔で見ることもなければ興味さえも見せない……。やっぱり これだよね。
勇者のせいで、いつも行っていた街は一時的にみんなが恐怖の目で見てくるし、しまいにはギルド職員ですら逃げるレベルになってしまった。本来の姿を拝めるってなんていい気分なんだろう。
地図はギルド職員に言って貰う形式なので、私は右側に存在するギルドの受付に並ぶ。
ここでは、ギルド受付で依頼を受けたり換金したり職員がやってくれることは全部同じ列で対応しているらしい。そのせいで、私たちの前に5人ほど並んでいる。しかも3列もあってだ。
街の大きさ的には以前言った街より少し小さいぐらいなのに、その時以上に待つとはな……。これも旅の楽しみだと思おう。
「それにしてもここはいつも混んでるわね。」
「お母さん行ったことあるの?!」
「もちろんよ。昔冒険者だった頃に依頼で何度かここに通ったことがあってね。いつもこの街のギルドは混んでいて、当時はヤジが飛んでいた程よ。あれから改良されているのかな?と思っていたけれど、変わっていないみたいね。変わったのは私たち冒険者のみみたいだわ。」
「お母さんヤジって何?」
「そうね。早くしろ!!って少し怒りながら焦らせたりする行為かしら。実際は自分の鬱憤を晴らすためにしているだけであってギルド職員にとっては嫌な思いしか残らないわよ。」
「なんでそんな意地悪のことをしたんだろうね。一生懸命頑張ってる方に悪いと思わないのかな? 絶対に良くないよ。」
「あの時代は冒険者が一番偉いんだぞ。って時代だったからしょうがないわね。王都の方ではヤジを飛ばすとギルドカードに良くないことが書き込まれるとか聞いたことがあるわ。多分それが対策になったのでしょう。」
「意地悪なことが無くなってよかったね。」
なんだか嬉しそうに話すサリアと母親らしい顔をしているお母さん。そしてその間に挟まれている私という時間をしばし過ごし自分たちの番が回ってきた。
「大変お待たせしました。」
「すみません。この街の地図が欲しいのですけど。」
「何枚後所望ですか?」
「一枚で大丈夫です。何かオススメの食べ物屋さんはありますか?」
「そうですね……。ギルド職員内で流行っているものですと、このギルドの向かい側にありますお肉を中心に使ったレストランが人気ですね。アッサリとしたソースをかけたものから、ニンニクを使ったこってりしたものまであってどんな日でも行きたくなりますね。それにお米?というよく分からないものが販売されているのですけど、すごいお肉とあってとても美味しいので頼む時はぜひ頼んで見てください」
「ありがとうございます!!」
「お姉ちゃんお米だって!!」
サリアは目を輝かせながら私とお母さんに訴えてきた。私ももちろんそのお店に行きたい。久しぶりにワンバウンドが出てしまうかもね。
「お母さん、私も行きたいんだけど、どうする?」
「お米があるのなら行きましょ!!」
お母さんの目はキラキラに輝いていた。その後私たちはギルドを出て向かい側のレストランに入っていった。
今回はギルドで問題も起こさなかったので、次回来る時も安心だ。
昔何となく映画を見ていて今振り返すと、こんなにも素晴らしい映画だったのか?! と感じました。
二時間もない時間内に心にグッとくるし、生きていく上での学びまで教えてくれる。
そんないい日を過ごせて幸せです。
みなさんも昔観た映画を見返して見てください!!
当時の光景と、今だから分かる奥深いストーリー、そして、今の光景が重なってとても美しい時間になりますよ