第112話 弱みを見せちゃった
あれからずっと泣いていたが、泣き疲れたのか今は私の胸元でぐっすり眠っている。
持ってきたプリンアラモードは、生クリームが溶けてしまってミルクをかけた新たなプリンみたいになってしまっている。
私はお母さんに「脳内メッセージ」で内容を伝えて、ひとまず来てもらうことにした。
「大丈夫そう?」
「うん。いまぐっすり寝ちゃってるから、とりあえず大丈夫。後、プリンアラモード片付けてくれる? 今日は私サリアと一緒に寝るからお父さんにもよろしくね。」
「うん。ありがとね。お腹がすいて何か食べたい時はすぐに言ってね。持ってくるわ。」
「ありがとう。」
「うん。」
私たちは短い会話をした後、お母さんはプリンアラモードを持ってサリアの部屋を出た。
お母さんはいつも見せるようなにこやかな表情ではなく、本当に心配そうな顔。
その心配はサリアだけでなく私自身にも向けられていた。
私はお母さんが出ていった後、サリアの頭を抱えながらゆっくり横になりいつの間にか寝てしまっていた。
夢の中では、あのキングオークに圧倒的な差をつけられ敗北し何とか私たちは転移魔法で助かったが、村の人々を見捨ててしまった内容だった。
実際にあるかもしれない。 そう考えるだけで、寒気と恐怖が私を襲う。
ここから抜け出したい。
誰もいない場所に。
私だけの世界に。
不安というものを感じない世界に……。
私がどんどん沼に精神が浸かっていくと、寝ていたはずのサリアの声が聞こえる。
「お姉ちゃん、大丈夫?顔色が悪いよ……。」
「大丈夫。大丈夫。まだ朝じゃないからもう一眠りしよっか。」
私は自分のことを隠すようにそんな発言をしてしまうが、サリアにはお見通しだったみたい。
「お姉ちゃん。私がいるからね。私もお姉ちゃんがいるからもう少しだけ頑張れそう。時間がかかるかもしれないけど。お姉ちゃんが一緒だったから、怖い夢見も見なかったよ。ありがとう。」
「サリア。」
私はサリアをいつも以上に抱きしめると、サリアは抱きしめてくれた。
それがいつも以上に温かくなんだか涙が止まらない。
今まで溜まっていたものが出たのかな?
気を張っていたのかな?
我慢してたのかな。
部屋一面に私の泣き声が響いた。
サリアは「大丈夫。大丈夫。」と言いながら頭を撫でてくれて、こんなに救われるものだと改めて実感した。
「ごめんね。こんなお姉ちゃんで。かっこよくないでしょ。」
「そんなことないよ。私はお姉ちゃんが大好きだから。だから、頑張る!! お姉ちゃんが誰かのために頑張ってたみたいに、頑張る。お姉ちゃんも泣きたい時は泣いていいからね。」
「ありがとう」
私はサリアの大きな胸の中で泣いた。
傍から見るとみっともない。と思われるかもしれない。
だが、これがなければ私は私ではいられなくなるだろう。
いくら強がっていても、私たちは感情で生きる生物。
弱い時は弱音を吐いてもいい。
泣きたい時は泣けばいい。
だって生きてるんだもん。
年齢なんて関係ない。
何歳になっても泣きたい時は泣けばいい。
生きている間だけのワガママなんだから。
私は安心したのかサリアの胸の中で寝てしまった。
助けるはずの私が助けられるとはね。
「おはよう、サリア。」
「おはよう、お姉ちゃん。」
私たちは顔お互いの顔を見て仲良く自然と笑ってしまう。
「もう、お腹がすいておかしくなりそうだよ。昨日のプリンアラモードも食べてないし。今日は沢山食べるぞ!!」
「そうだね。最後にもう一回抱きしめていい?」
「お姉ちゃんが甘えん坊さんになった!?」
「やっぱり無し。」
「えー。やろうよ。そんなにほっぺ膨らませないで。意地悪言わないから。」
「はーい」
私たちは抱き合うと、どこか安心して、不安が取り除かれる気がした。
ここまで頑張れるのはサリアのおかげだよ。ありがとう。
「時間的にお父さんもいるから急いで降りよっか。」
「うん。」
私たちは仲良く一回に行き、リビングに入る。
「「おはよう」」
「おはよう……。」
「おはよう、ゆっくり眠れたか?」
「うん!! お姉ちゃんと眠ったからぐっすりだよ。」
「私も。」
「そうか。あまり無理せずにな。」
「「はーい。」」
二人ともすごく心配そうな顔をしながら声をかけてくれた。
「もう大丈夫だよ」と伝えてもその顔は心配をしたままだった。
これだけ心配されてるって幸せだな。
ありがとう。
私たちはゆっくり朝食をとった後、お父さんを送り、お母さん、サリア、私の三人でゆっくり料理本を見て仲良く過ごした。
しばらくは長老修行と旅修行お休み。とりあえず今日はゆっくりしよう。
とりあえず、悲しみの魔物編完了!!
勝手に○○編としてみましたが、これからどんどん作る予定です!! 次は入学試験編かな? 入学試験編では、あのウザイやつの弟が登場予定ですよでお楽しみに!!
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