第108話 天ニ行きタイ
「お父さん。お母さん。どこ……。」
「ガアアアアアア!!」
「!!」
私は、泣き叫ぶ女の子に棍棒を振りかざすオークに近づき殴り殺す。
女の子の背後から攻撃を仕掛けたため、女の子はオークに襲われていることを気づいていなかったが、私が倒した音で後ろを振り返る。
「お姉ちゃん……。お父さんとお母さんが……。」
「大丈夫だから安心して。」
「でも……。」
そんな時、お母さんからメッセージが脳内に流れてくる。
いちばん大きい家にこの村の住民を集めているらしいので、はぐれている住民がいたらそこまで連れてきて欲しい。との事だ。
「みんながいるところに行こっか。」
「……。うん。」
涙が止まらない女の子を抱えて、魔法感知で住民が集まっている家を探し急いで向かう。
その家は、魔法による結界が施されていたので、オークなどといった魔物からの攻撃を受けることは無さそうだ。
私は家の前につくと、ノックを3回する。
「はぐれている子供を連れてきました。」
「「アイ!!」」「「リア」」「ショウ」
私が言葉を発すると勢いよくドアが開き何人かの大人の方々がやってきたが、女の子が自分の子でないとわかると何人か悲しそうな顔をして家の中に戻っていった。
「お父さん!! お母さん!!」
「アイ……。本当に無事でよかった。」
「本当に……。良かった。」
その子の両親は、アイちゃんという私が助けた女の子を抱きながら涙をこぼしていた。
女の子は、「少し痛いよ。」と言いながら両親の背中に手を添えていった。
「「ありがとうございます!!」」
「私は、残りの魔物を退治してきますので待っててください。」
「「はい!!」」
そうして、結界から出て魔力探知をすると、村には魔物が残ってなく、村の近くの森にある魔物が走り去っていくのがわかる。
村に残された住民もいない……。
私が最後の住民を助けたということは……。
そんなこと考えないで、魔物退治に行かないと!!
私は村の中心にお母さん達が集まっていたので急いで向かう。
ところどころ瓦礫等で走りずらいがそんなことをきにしている余裕はない。
「お待たせ!!」
「この村にはもう魔物がいないけど、もちろん逃げた魔物も退治しに行くわよね。」
「うん!!」
「うん……。」
「二人とも無理してない? 人命救助が終わったから、疲れていたら村に残っても大丈夫よ。」
「私は最後までやり遂げたい。この村を襲った魔物をしっかり退治しないと亡くなった方になんとも言えないよ。」
「私も……。正直いって怖いし逃げ出したいけど、もしも私と家族があんな目にあったと考えると頑張らないとだから……。」
「二人とも考えすぎだ。相手のことを考えることは素晴らしいことだが、そこまで考えていればいずれ精神が壊れ元に戻れなくなる時がある。私たちが来るこおに寄って一人でも助けることが出来た。と思っていた方がまだいい。しょうがないで片付けてはいけないと思うけど、しょうがないことなのだよ……。冒険者として、慣れてはいけない問題だが、これは慣れるしかないかもしれないな……。」
「そうですね……。」
「!! 逃げていた魔物が止まった。しかも、その近くにそれ以上の魔力を持った魔物もいるとはな。こんな地に住み着くとは、それだけここの村を無くしたかったのか? それとも、食料不足なのか?」
「急いだ方が良さそうですね。」
「そうだな。」
「行くわよ。」
「「はい!!」」
私たちは急いで魔物が集まっている箇所に向かう。
私はお母さんたちと一緒に到着できたが、サリアは足が重いのか少し遅れて到着した。
魔物たちは未だあちらはこちらに気づいていない。
「あれは、オークキング!! なんでこの村の近くにいるのよ。普通ならダンジョンでも中層以下、もしくは危険度の高いエリアしかいないはずなのに……。」
「オークキング?」
「冒険者ギルドが出しているランクではBだな。私たちにとっては楽勝な相手でも、ここに住む方々にとっては絶対に勝てない相手だ。見つかっただけで、殺されることを覚悟しないといけないだろう。オークなどは運よければに逃げ切れるが、オークキングは100%無理だからな。」
私たちがオークキングなどを見ていると、オークキングが自身の腰につけている巨大な剣でここまでやってきたオークを切り裂いた。
「イイよな。テンに行けルンだかラ。」
「ガァァァ。ガァァァ。」
「ヴー。ヴー。」
「オマエ達もテンに行きタイのか?」
「ガァァァ。」
「ヴー」
言葉を理解しているのか、オークキングの問いかけに必死に顔を横に振るオークとトロール。
肩を丸くし少し怯えている。
それにしても、天に行けるとは……。
「ヤバいな。オークキングが話せるとはな……。二人ともどうする?」
「……。」
「……。」
えっ……。
紗夜ちゃんから、人族に似た魔族は話せるって聞いていたが、魔物が話せるなんて聞いたことがなかった。
実際に会ったら大丈夫だろう。なんて甘い考えだったが、今は心の底から震えが襲ってくる。
見た目が一切違うのに、私たちと同じ言葉を話す相手。
私もあちら側に生まれた可能性もあると考えると、少し吐き気を覚える。
先程までの勇気はほぼなくなり、私の心は砕けている。
「アリア、サリア。」
お母さんが小さめで肩を揺らしながら声をかけてくれるが、反応が出来ない。
私は何故か自然と目から涙がこぼれる。
「紗夜さん。私たちでいちましょう。さすがに言葉を話す魔物はイレギュラー中のイレギュラーですもの。初めて間もない二人にとっては酷です。」
「ああ、分かった。」
「二人はここで待ってて。」
「あっう……」
「わった……」
私とサリアは魔物を見つめることしか出来ずにその場に残ることになった。
いや、残らざる得なかった。
お母さんと紗夜ちゃんは場所を移動した後オークキングの前に姿を現した。
今更ですが今年の目標発表します!!
本気で本書きの勉強です!!
昨年よりも多くの本を読み、考え感情を動かしていきたい!!
感情動いてくれ!!
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