第101話 新たに作る料理は……
「お姉ちゃん大丈夫かな?」
「うーん……」
私たちは不安になりながら家に向かっている。
両親に紗夜ちゃんのことを話した時も私たちの会話の後に紗夜ちゃんと両親で話し合って、それで紗夜ちゃんだって認めてくれたから今回も上手くいくといいな。
「紗夜ちゃんが家に帰ってきたら長老がどんな感じだったか聞いてみよっか。私たちは今できることないし。」
「うん。」
「家帰ったら何か新しい料理でも作る?いつまでも落ち込んでると、悪い運勢になっちゃうぞ!!」
「作る作る!! 」
「何作ろっか?お餅はお父さんと一緒に作りたいし、ピザも一緒に作りたいし……。うーん。」
どうしよっもかな……。
私は悩んでいるとふとあいつの事を思い浮かべる。
そう焼きおにぎり!!
おにぎりに醤油を塗って焼くという簡単な工程だが、おにぎりとはまた別の美味しさを口いっぱいに広げてくれる。
醤油の少し焦げた味がたまらないんだよな……。
これで決定だね!!
「サリア、焼きおにぎりはどうかな?」
「焼きおにぎり?」
「そう。おにぎりに醤油を塗った料理なんだけど、今まで食べていたおにぎりと一味違ってこれも美味しいんだよ!! おにぎり好きにはぜひ食べて欲しいかな?」
「絶対に作る!! 楽しみだな焼きおにぎり!! 私ねおにぎり大好きだもん。味も美味しいし、なんの具材が入っているかドキドキしながら食べられるのがすごい好き!!」
「楽しみだね。」
「うん!!」
サリアは先程の話をすっかり忘れて不安な表情が無くなっていて、食べ物を考えている顔をしている。
それほど楽しみにしてもらってなんだか嬉しいな!!
そのまま家まで着くとスキップをしながら洗面台に向かってテンションが高い時限定の高音ゴロゴロをしていた。
少し気分変えられたらな。と思っていたがここまで元気になって良かった!!
さぁ。焼きおにぎり作るぞ!!
私たちはリビングに行くとお母さんが紗夜ちゃんから貰った料理本を見ながらヒソヒソと独り言を言っている。
「「ただいま!!」」
「あら、おかえりなさい。大丈夫だった?」
「うん!! 今は紗夜ちゃんとお話中だから先に帰ってきたんだ。」
「前に紗夜ちゃんがお母さんとお父さんに説明したみたいな感じだから大丈夫だと思うけど……。」
「大丈夫よ。紗夜さんのことを信じて待ちましょう。」
「「うん!!」」
「それにしてもお母さん料理本見てどうしたの?何か作りたい料理でもあった?」
「そうね。デザートのこの黄色いものが美味しそうでね。ワイングラスみたいなお皿に乗せているのも気になるわ。」
「なになに!!」
私たちはそのページを見るとそこにはプリンの絵と作り方が書いてあった。
材料は、牛乳、砂糖、卵か……。
家にあるじゃん!!
これなら私たちで作ってお父さんと一緒にたべられるからいいかも!!
「お母さんこの料理作ってみる? 砂糖と牛乳と卵だけで作れてすごく美味しいよ。生クリームとの相性も抜群だし」
「生クリーム!! 絶対に作りましょう。」
「焼きおにぎりも楽しみだけど、こっちもすごい楽しみ!!」
「焼きおにぎり?」
「そう。お姉ちゃんがね。新しいおにぎりを作るって言ってたよ。すごい楽しみなんだ!!」
「それはいいわね。早速準備しましょうか。」
「その前に待って!! 」
私は収納魔法から紙とペンを出して日本語とエルフ語どちらも書いて隣同士で並べる。
エルフ語と日本語は非常に似ていて、ひらがななどの文字がエルフ文字になっているぐらいだ。
せっかくならエルフ文字で書いてくれればこんなに困ることがなかったが、料理本を大量に作ってくれた紗夜ちゃんには言えない……。
みんなが覚えれば万事解決だしいっか。
「お姉ちゃんこれは?」
「これはね、エルフ文字と日本語のひらがなを書いたものだよ。配列が同じだからこれを見ながら料理本見ればみんなも読めるかなって思って」
「お姉ちゃん!!」
「ありがとうアリア!! これでみんなに内緒で美味しい料理食べられるわね」
「お母さん!!」
「大丈夫よ。こっそり食べるだけだから」
「そこは残しといてよ!!」
お母さんとサリアがなんだか可愛らしい会話をしていて空間が和らぐ。
プリンもいいが、フルーツも沢山取れるエルフの里なのでプリンアラモードもいいかもしれないな。
その後、お母さんとサリアにプリンアラモードのことを教えると即決定になった。
久しぶりのプリンアラモード楽しみだな!!
今回のプリンの作成が成功したら一人でバケツプリンを作ってみんなを驚かせてもいいかも!!
あれは全子供の夢の存在だから、特にサリアが感動してくれるはず。
どんな顔してくれるか楽しみだな!!
私たちは、エルフの畑に向かって多種多様のフルーツを取って家に帰ってきた。
よし、これからプリンと焼きおにぎりを作るぞ!!
私たちはみんなエプロンに着替えて料理始まりの掛け声を言う。
「「レッツクッシング!!」」
「おまたせ」
「「……」」
紗夜ちゃんタイミング悪いよ……。
とりあえず紗夜ちゃんのお話から聞くことになった。
今日で今年が始まって八日目ですよ。まぁ、もうすぐ九日目に到着しますが。
皆さんは、時間の感覚どうですか?
私は何故か今年に入ってからすごくゆっくりと進んでいる感じがしてとても楽しい日々を暮らしています!!
昨日は七草粥も食べ、一日にはおせち料理等を食べましたが、随分昔のように感じます。
この調子で一日一日を長く幸せに味わいたいです!!
今ふと思いましたが、幸せな時間は早いはず……。
果たしてどっちなのか!?
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