第100話 ついに長老と紗夜ちゃん対面!!
「「おはようございます……」」
「「おはよう!!」」
「……おはよう。」
長老の孫のラッサーとマーサはいつもと変わらないトーンで返答してくれるが、肝心の長老は言葉が詰まらせながら返答してくれる。
紗夜ちゃんが噂になってると言うぐらいだから、もう長老の耳にも入っているのだろう……。
長老の顔を見るが、昨日までとは違い少しだけ表情が固いように感じる……。
長老の顔を見ると緊張して言葉が出なくなっていた。
どうしようとドキドキしていると修行開始の合図が長老から出されたのでとりあえず修行に取り込むことに。
なるべく早く言ってスッキリさせたいから休憩時間にでも声かけよう。
頑張れ私!!
そう考えながら自分の修行を始めるが、
……。
……。
全く集中ができない。
さっきから頭の中で長老になんて言って話始めればいいのか? 断られた時はどうしたらいいのか? と自問自答が止まらない。
考えても無駄だと思っても何故か考えてしまう。
修行に集中しなくちゃと思えば思うほど集中できなくなっていく……。
はぁ。こんなんじゃダメだね!!
そういえばサリアは大丈夫かな?
ふとサリアの方を見るがあまり集中できていない様子。
お姉ちゃんとしてサリアを引っ張って行かないと!!
私は気合いを入れ直し少しだけ修行に集中した。
考え事とちょっとした集中おかげで、あっという間に休憩時間になった。
私は早く言って残りの修行に集中しようと思ったがラッシーとマーサに捕まってしまった。
「お姉ちゃん聞いたよ!! あの生クリーム? ってのを販売してくれるようになったのはお姉ちゃんが手伝ってくれたからだって。」
「そうそう!! ホットケーキだけでも美味しかったけど、生クリームをかけると格別!! あれなら何個でも食べられるよ。本当にありがとうお姉ちゃん!!」
「ありがとう!!」
「美味しいけど食べ過ぎには気おつけてね。食べすぎると太っちゃうからね。」
「「はーい!!」」
二人は幸せそうな顔でホットケーキのことを話してくれる。
ホットケーキは以前の人気商品であったが、生クリームと一緒に販売してからはより大人気商品になって販売するとすぐに無くなってしまうらしい。
その話を満面な笑みで話してくれたので、ホットケーキと生クリームのことを教えてよかったな。と心から思った。
やっぱり料理は誰かに喜んでもらうのが一番だからね!!
私たちは修行が再開するまで修行のことと、長老に話しかけることをすっかり忘れて話にのめり込んだ。
後半戦の修行はホットケーキや生クリームの他にどんなものを教えようかな? と考えながら取り組んでいた為、また集中できなかった……。
「って感じじゃな。明日も頑張るように!!」
「「はい!!」」
「お疲れ。」
その声と共にサリアが私のところにやってきて小声で「お姉ちゃん、行くよ!!」と言ってくれたので、噂の件を思い出した。
思い出すと一気にドキドキが止まらなくなっていったが、最後のチャンスなので勇気を振り絞って長老の元に向かう。
「すみません。この後少し時間いいですか?」
「少しだけ!! おっお願いします!!」
「ああ。あのことじゃな。分かっておる、心配せんでも平気じゃ。その前にちっと待ってな。」
「「はい!!」」
長老はラッサーとマーサの元に行ってなにか話すと、二人は私たちに手を振って自宅に帰って行った。
いつもは長老と帰っているので寂しいかな? と思ったがそんな感じの表情は見受けられなかった。
良かった。
そうして、私たちは長老の後をついて行って森の奥に進んで行った。
「ここら辺でいいじゃろ。言いたいことは里の皆が言っていることだろう。わしも気になっておったが、それ以上に二人の気持ちの方が心配じゃ。ここまで来たが、無理して言わなくてもいいと思っている。辛かったら逃げ出してもいいんじゃよ。」
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。」
「大丈夫です!!」
「サイレント・フィルター」
「?!」
紗夜ちゃんの魔法で私たちを中心に大きな結界が作られる。
長老は一瞬慌てる素振りを見せたが害がないとわかると、その後は先程と変わらない感じに戻った。
「そこまで他のものに聞かせたくないってことじゃな。安心してくれ。しっかりと約束は守る男じゃ。それにしても、二人の声ではないように思ったが、気のせいか?」
「今からこの結界魔法を張ってくれた方が私たちの前に現れますが驚かないでください。」
「驚いて魔法とか撃ったらダメだよ!!」
「分かったわい。それにしても急に現れると驚きそうじゃな。その方が魔法を教えてくれた方かのう?」
「久しぶりだなナーガ。」
「……。えっ。誰じゃ?!」
「「?!」」
紗夜ちゃんは存在を現した後に声をかけたが、流石にこの見た目だけあって長老に気づいてえなかった。
声は紗夜ちゃんだとわかっても、もう亡くなっていると思っているから候補から外しているだろう。
長老は目の前に浮かぶ紗夜ちゃんを見ながら質問を始める。
「私がここの長を務めさせていただいてます、ナーガ・リバガーデでございます。貴方様はどちら様でしょうか……。種族は何でしょうか? えっと、何処で二人とあったのでしょうか?えっと……。」
「少し落ち着いてくれ。と言いたいが、実際に私がこんなことされたら落ち着かないな。この姿になって気づかないだろうな。と思っていたが、本当に気づかれないとそれはそれで悲しいもんだな。いつもニコニコとした表情で親しく話しかけてくれるのが、他人事みたいに言われるのも悲しいし……。年をとったから涙脆くなると言うが本当だな。ってな感じで、そろそろ自己紹介でもするかな。私は紗夜。元ここの里のエルフ種。こういう時に証明できるものがあればいいんだけどな……。昔のナーガの話でもすればいっか。あれはまだ学校行きたての頃だったな。家族が寂しくて一人ノコノコと」
「ちょっと、ちょっと待ってください!! まだ紗夜さんと確認はできませんがそれ以降の話は二人で話しませんか? 現在私はこの里の長老という立場がありますので。」
「分かった、分かった。確認は後でってことで。とりあえず、二人がいるから噂の確認等していくが大丈夫か?」
「……はい、分かりました。」
「そうそう。私の体についてだが、自分の脳などを機械に移植した感じだからあまり気にしないで。」
「……。これを知ったらやりたがるエルフもいるでしょう……。二人の噂ですが事実なのですか?グリフォンや鵺を倒したというのは……。」
「それは本当だ。私が修行を数年に渡ってつけたから、暴走することはないと思うし、もし暴走しても私が止めるから問題ないはず。本来であればナーガが、修行することを取ってしまってごめんな。」
「いえ。私よりも紗夜さんに教えてもらった方が分かりやすいですし、その子その子に合わせて対応を取られていると思うのでそちらの方が吸収は早いと思います。それにしても、何故強くなったのに私の修行に来ているのですか? 時間の無駄になってしまうと思うのですが……。」
「時間の無駄ではないぞ。家族以外の方々とのコミュニケーションは、一番大切だからな。どうしてもこれだけは私の修行で完壁にできないし、時間をかけるところだと思う。それに、二人ともナーガの孫と仲がいいらしいから、このまま続けさせるつもりかな。」
「分かりました。学校に行ってもコミュニケーションぐらいで、授業等は教わることがないと思いますが大丈夫ですか?」
「二人ともどう?」
「サリアはね。沢山友達を作る予定!! 楽しみなんだ!!」
「他の種族との関わりなどを学ぶ絶好のチャンスですので行く予定です。それに、お母さん達との約束でもありますので。」
「そうか。では、学校の試験も少し早めることにするか。」
「「お願いします!!」」
その後長老に私たちの力を少し見せたところ、驚いて言葉が出ていなかった。
もちろん結界内で行った為誰にも気づかれていない。
「アリアとサリアは家に帰ってゆっくりしててくれ。私はナーガともう少し話しておきたいことがあるから。」
「「はーい」」
そうして、私たちは結界から出て家に向かった。
今年始まって初めての特別編外です。
今年始まってから筋トレを始めました!!
どこまで続くか分かりませんが、いつも以上に良い睡眠を取れている気がするので、よりいい作品がかける予感!!
今後の展開に期待しててくださいね!!
それと同時進行にやっている昔の手直しもいい感じになりそうです。
確か二話までやった気がします。詳しくは近況報告をら見てください!!
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