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三日月君のテスト問題

三日月と美乃は担任に呼び出された。美乃は嫌な予感しかしない。

「三日月は数学と英語以外赤点だ」

美乃は絶句する。

「音羽、頼む。何とかしてくれ。来週追試だから」

来週の追試までに国語・生物・世界史を何とかしろって…と絶望する。

教室に戻って

「三日月君、赤点の答案用紙全部見せて」という。

三日月はぼーっとした顔で答案を渡す。


「ねぇ、世界史、選択問題適当に書いたでしょ?」

美乃が厳しい口調で言うと、三日月は目をそらす。

図星だな、と美乃は確信する。

どうしたものか、と思っていると唐沢がやって来る。

「おぉ、やばいな、これは」

という。

「来週の追試までに何とかしないと。三日月君、勉強しなかったの?」

「つい、ほかのことが気になって」

「数学と英語はこんなに取れてるのにどうして…」

「数学は簡単だし、英語は興味あるから。」

そういうことか、と美乃は思う。

「三日月君、好きな教科しか勉強してないでしょ」

三日月は聞こえないふりをしている。

「まぁまぁ、音羽。こいつ記憶力と集中力はすごいからさ、それで何とかならない?」

「そうなの?」

「うん、たぶん音羽の想像の何倍も。」

「いや、俺の記憶力は囲碁にしか使えない」

と三日月が真顔で言うが、美乃はあえてスルーする。


「記憶力か…赤点の教科は暗記科目多いからいけるかも」

後は範囲を絞れば。


美乃は携帯で三日月の対局予定を見る。今週と来週は運よく対局はないようだ。


美乃はテスト用にまとめた自分の古文・漢文のノートを三日月に渡す。

「これテスト範囲だから、気合で暗記して」

そして生物と世界史は1問1答の問題集のテスト範囲に付箋を貼る。

「これもこの範囲だけ暗記して」


三日月はものすごく嫌そうな顔をする。

「夏休みが補習三昧になってもいいのね」

美乃は厳しい表情で言う。

それだけは絶対に嫌だ、と三日月は思う。

三日月はため息をついて

「分かった。できるだけ頑張る」という。


「音羽すごいな、教師に向いてんじゃね?」

唐沢は感心する。


三日月は1問1答の問題集を見る。問題文も短くこれならできるかも、と思った。


昼休みや休憩時間に美乃は三日月に古文と漢文を教える。放課後、唐沢が生物と世界史の問題を出して答えさせる。

「奏、めっちゃ覚えてきてるじゃん」

「美乃が…やれっていうから」

無表情で答える三日月に、子供か、と唐沢は思う。


追試後、教師がその場で採点しているので、待っている間、三日月が窓の外を見ると、美乃が校庭を走っているのが見える。

頬杖をついてその光景をじっと見つめる。

こんなに学校の勉強に集中したの初めてかも、と三日月は思う。


「三日月、やればできるじゃないか。全部9割以上取れてるぞ」


「よかった。」

三日月はかすかに微笑んだ。


美乃の部活が終わるまで携帯で棋譜を見ながら三日月は校門で待っている。

「三日月君、追試どうだった?」

美乃が三日月を見つけて心配そうに走ってくる。

「全部、受かった。ありがとう」

三日月は穏やかな顔で笑った。

美乃はその表情にドキッとする。

囲碁の勉強に影響するのでは、と気になっていたがとりあえず合格できてよかった、と美乃は思った。


三日月はすぐにいつものぼーっとした表情に戻り、

「美乃すごく怖かった」

とつぶやく。

「それが嫌なら、次からは本試験で受かってね」

とピシャリと美乃は言う。

「ふぁ~い」

三日月はあくびをしながら答える。

昨日の夜は学校の勉強を頑張ったんだな、と美乃は感心していた。


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