電話とデートの約束と
「おめでとう!」
ミナコさんに電話で昨日のことを伝えると、とても喜んでくれた。
「ユウくん、嫉妬しちゃうかもね。妹をー!って」
「大丈夫かな」
「大丈夫よ。娘を嫁にやる父親ってのは皆そういうもんよ」
「そっか……」
「あ、それより。デートの日とか決まってるの?」
「あ……」
デートなんて考えたこともなかった。
「いつも小山さんがうち来てくれるから……」
「せっかく付き合ったんだから、どこか2人で行ってきなよ!」
「……」
「あと、呼び方ね。付き合ったんだから、名前呼びしてみなよ!」
「恥ずかしいかも……」
「そういうもんよ!頑張って!」
◯●
夜、寝る前に小山から電話がかかってきた。
昨日会ったばかりだが、声を聞きたくなったらしい。
「仕事お疲れ様です」
「ありがとうございます」
「小山さんももう寝る時間ですか?」
「ええ。珍しく家に帰れました」
ふふっと2人で笑った。冗談じみた敬語を使ってみると、ちょっとだけくすぐったい気持ちになる。
「あ、いつかでいいので、デート行きませんか?」
「デート……良いですね!!どこ行きたいですか?」
「花葉市美術館じゃダメですか…?どうしても行ってみたくて」
「良いですね!行きましょう」
「もちろん、仕事の具合優先で」
「ありがとうございます。休み頑張って取ります!」
「無理はしないでくださいね!」
「俺がソリタさんに会いたいだけなので」
思わず頬が火照った。
「私もです」
「嬉しいです」
少し間が空いた。
「あ、今日はソリタさん何してましたか?」
「今日は……製作ですね。気が付いたら夜です。途中兄さんの奥さんと電話してたり」
「なるほど」
その日は結局かなりの時間、話し込んでしまった。
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