伝える
生温かい温度と濡れた感触が唇から伝わった。相手の目は閉じているが、少々恥じらった顔が妙に艶かしい。相手の手は俺の腰と首に絡められ、吸い寄せられるように俺は空気を貪った。
伝わってくる早い鼓動と自分の早い鼓動が重なった。
「んっ」
しばらくその状態が続いた後、無言のままお互い離れた。
ソリタは俺の目を真っ直ぐ見つめた。
「好きです」
ただ、それだけだった。
でも、それが嬉しかった。
「本当に俺でいいんですか?」
赤羽さんの方が、何もかも揃っているだろう。
俺なんかより、彼を選んだ方が幸せになれるだろう。
「小山さんが良いんです」
ソリタの真っ直ぐな目はキラキラと輝いていた。
「俺も、好きです」
「もう1回、良いですか?」
ソリタは小さく頷いた。
俺からのキスは、1回目のキスより激しかった。
ソリタの腰と後頭部に手を回し、空気を貪った。少々赤く染まったソリタの頬と、お互いの舌が絡み合う感覚が、妙にそそられた。
「んっ、あ」
ソリタを傷付けないようそのまま長椅子にもたれかかり、お互いを貪った。
結局その日はキスだけで留まり、忘れていたLINEを交換し、お開きになった。
この日を境に俺らは恋人同士になった。
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