緊張
週末、時間ができた俺はソリタの家に来ていた。
(ユウさん経由でOK貰えたし、大丈夫、大丈夫)
俺は、千夏先輩が言っていた言葉が妙に気になっていた。
インターホンを押すと、いつものようにソリタが出てきた。
「いらっしゃいませ」
「おはようございます」
お互い変な緊張が漂っていた。
◯●
「珍しいですね、お休み」
ソリタが口を開いた。
「ええ、なんか新企画の演者として俺が駆り出されることになって、ボーナス的な休みです」
「演者?」
「恋愛企画みたいなので」
「……」
「酷いですよね、ヒョロガリだから面白いって理由で選ばれました」
「……」
「ひとつ聞いていいですか」
「はい」
「赤羽さんのこと、どう思ってたり……?」
「え?……」
「聞いちゃいけなかったですよね、すみません」
「……仲良い先輩でした」
「そうなんだ」
ソリタは目を逸らした。
「赤羽先輩、良い人ですもんね。皆から好かれてるし。俺だったらあんな人を選ぶかなって……ソリタさん?」
妙に色っぽい真っ直ぐな眼差しに、時間が止まったような感覚になった。
「ええっと」
(どうすれば……)
恥ずかしさの余り、俺は顔をそらしてしまった。
「小山さん」
「はい」
不意に名前を呼ばれ、顔を上げた。
「んっ」
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