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画家のソリタ   作者: Suzura
6/65

上司


会社に行くと、珍しく上機嫌な葛西さんに出会った。 

自販機で珈琲を買っていたようだ。俺の姿を見ると、冷たい珈琲を何も言わずに買ってくれた。


「小山、どうだった?」

「あ、えっと」


(なんて説明しようか……)

「まあ、いい。とりあえず戻るぞ。話は後」

「はい」


その日、葛西さんと乗ったエレベーターはいつもよりも長く感じられた。


「小山、どうだった?」

フロアに戻ると、早速さっきと同じ質問が飛ぶ。アキラさんがこちらを心配そうに見ている。

「実は」  


覚悟を決め、Solitaのことを話した。

黙って頷いていた葛西さんは、俺が話し終わると「そうか」と呟いた。


「さすがに出たくない人を無理矢理出すのは良くないので、別の人を探した方がいいと考えま……」

「馬鹿か」

葛西さんの言葉がピシャリと遮った。


「そこを説得するのがお前の仕事だろうが」

 


葛西さん越しにアキラさんがため息を吐いているのが見えた。こうなるのは予想通りだったのか?


「いやいや。出たくないってことでしたし」

「馬鹿か。数字取るためだろ。上手く言ってこいよ。何のためにお前を行かせたんだ」


意味が分からなかった。


「お前は口だけは上手いんだから」



「お言葉ですが……番組の為に誰かに嫌な思いさせるのはいくら面白い番組でも、視聴者も望んでいないと思います」


「綺麗事言ってんじゃねえよ!」

ドンと葛西さんが机を叩く。フロア内の皆が一斉に飛び上がる。大半が"またやらかしたか、小山……"と俺を見ていた。



意識が遠のく中、俺はただ罵倒されていた。



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