恋愛リアリティショー
「恋愛企画ですか」
「ああ」
打ち合わせで葛西さんは意気揚々と語った。
アキラさんも初耳だったようで、目を丸くしていた。
スタッフ誰もが驚く中、千夏先輩が口を開いた。
「恋愛企画って、演者さんは誰にするんですか?」
「小山にしようと思う」
「え?!」
俺は思わず立ち上がった。
「AD小山の恋愛リアリティショーみたいな感じでシリーズ化したら面白いと思うんだ」
「いやあ、それは無理ですよ」
「何が無理なんだ、小山」
「えっと」
「数字が取れる。彼女探しができる。お前にも番組にも悪いことは何もない」
(数字に関しては良いけども!!)
「でも、」
「他の奴は!どう思う?」
スタッフは軒並み好感触だった。
(まずい……)
「アキラ、お前はどう思う?」
「企画自体は悪くないと思います。数字も取れそう」
「小山じゃなくても良い気もしますが」
(千夏先輩……!!)
「小山であることが逆に良いんだよ」
(えっ)
「ヒョロガリのぼけーっとしてる奴がアワアワしてるのが良いんだよ」
(悪かったな。ヒョロガリでぼけーっとしてて)
「小山、そういう訳で頼んだ」
こうなってしまうと、俺に拒否権はない。
「……わかりました」