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想い
「ソリちゃんはどう思ってるの?」
「うーん」
私は最近の出来事をミナコさんに相談していた。
「頭が混乱してます、いろいろ」
「なるほどねえ」
ミナコさんは珈琲をすすった。
「恋愛感情みたいなの、分からないっていうか」
あの時以降、よく分からなくなってしまった。
「そうか〜」
「ミナコさんは、どうしてましたか?」
「どういうこと?」
「好きとか嫌いとか、いつ自覚したかみたいな」
「そうだね~私は、触れたいってなった時かな。あとはずっと一緒に居たいって思った時」
「なるほど」
「ある?そういう感覚」
「……」
◯●
「ありがとうございました」
「ソリちゃん」
「はい」
「これは完全な私の意見だけど」
「……?」
「恋をするとね、人って今まで世界が違って見えるようになるの。きっとソリちゃんが描く絵によく表れると思う」
(絵……)
「なるほど……ありがとうございます」
「また話聞くからね」
「はい」
私はミナコさんに会釈を返し、帰途についた。
(……)
帰り道、いつもより遠回りをしながらゆっくり帰った。