和解の兆しと
「……」
「ごめん、邪魔したね」
「大丈夫です」
小山が外に出た直後、先輩のマネージャーの中埜さんも電話に出るために部屋の外へ行った。
リビングには私と先輩だけになった。
「……中学の時さ」
「……」
「俺のせいで、あんな目に遭って……本当ごめん」
モテる人は、本人は何もしていなくても猛毒になる。
誰かに興味を向けた瞬間、それが意図せず兇器になる。
だから、どんなに良い人でも、関わってはいけない人もいる。
「……先輩のせいじゃないです」
「ずっと謝りたかった。本当ごめんなさい」
「守ってくれたじゃないですか」
「でも」
(今まではそれを見抜けなかっただけって思ってた)
「……先輩も苦しかったんですよね」
「え…?」
「初めて先輩の絵を見た時、暗い色が目立ちました」
「……」
「時が経つにつれ、色が明るくなっていったように感じます」
「やっぱり、気付いてたんだ」
「はい。……だから、気にしないでください。自分を責めないでください」
(モテる人にだって人権はある)
「……ありがとう。ソリタさん」
「……先輩、絵はまだ続けてますか」
「……今はやってないんだ」
「私は、先輩の描く絵が好きです。だから、やめないでください。また続けてください」
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