勝手な心配
「まさかって感じでした」
「そうですよね、俺もびっくりしました」
「連絡先……」
「知らなかったな、そういえば」
俺のみ一応連絡先を追加した。
赤羽さんが居なくなり、Solitaと2人で話した。
俺自身も時間に余裕があるわけではないが、話したい気持ちが勝っていた。
(あと数分なら大丈夫だろう)
「……どんな感じですか、赤羽先輩」
「え?」
「仕事の時」
「何で言うんだろ、スタッフにも平等に気を使ってくれて、真面目で、皆から好かれてる感じ……かな」
「そうなんですね。昔と変わらないや」
「……」
Solitaと赤羽さんの関係は出会ってすぐの頃に聞いていた。
(触れちゃいけないよな)
「……急にすみませんでした、来ちゃって」
眉間に皺を寄せていたのだろう。Solitaが不安気な顔をして聞いてきた。
「いやいや、嬉しいですよ」
「近頃かなりお疲れ気味のようで、勝手に心配しました」
「ありがとうございます。勝手な心配が身に沁みます」
2人してふふっと笑った。
「あ、俺そろそろ行かないと」
「引き止めてしまってすみません」
「いやいや。お会いできて嬉しかったです」
俺はSolitaに軽く会釈を返すと、午後の仕事に向かった。
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