再会
「こ、こんにちは」
「Solitaさん?!何でここに」
「ソリタさん?」
「ひ、久しぶりです。赤羽先輩」
「え?」
Solitaが社食に居るとは思わなかったが、何より俺が驚いたのが、赤羽さんとSolitaの反応だった。
「え、まさか」
「前話した先輩です」
血の気が引くような感覚がした。
「ソリタさんと知り合いなんですか?」
「とりあえず、座りましょうか。突っ立って話しているのも、ね」
「ソリタさんと小山さんはどういう……」
「えっと」
Solitaは目を伏せており、机に乗せた手が小さく震えていた。
「個展に来てくださって、それからよくお話するようになったんです」
「なるほど」
「そ、Solitaさんと赤羽さんは中学の時の」
「ええ、まあ」
「赤羽先輩は、今」
「アイドル……やってるんだ」
「そうなんですね」
「高校入ってスカウトされてね、全然大したことないけど」
「え」
(大人気アイドルですよね)
ちなみに赤羽さんは、ついこの間開催したアリーナツアーでは、倍率が4倍を超えたらしい。あくまで噂だが。
「……ソリタさんの絵、見たよ」
「……そうなんですか」
「SNSでね。メンバーが教えてくれたんだ。凄いね」
「ありがとうございます」
妙な沈黙が流れた。
「あ、ごめんなさい。マネージャーが呼んでる……」
赤羽さんが呟いた。冠ラジオの収録だという。
急いでご飯を掻き込み、赤羽さんは席を立った。
「あ」
赤羽さんは思い立ったように鞄からメモ帳を出すと、何かを記して机に置いた。
「俺の連絡先です。小山さんもソリタさんも俺の連絡先を知らないと思って。ないとは思いますけど、何かあったら連絡してください」
赤羽さんは気まずそうに会釈を返すと、パタパタと走り去った。