睡眠不足とエナドリと
ロケが終わり会社に戻ると、すっかり日が落ちてしまっていた。疲労困憊だったが、この後編集作業に向かうので局内のコンビニでエナドリを買った。
レジ待ちの最中、千夏先輩が溜息を吐いた。
「今日もテッペン回るよね~」
「ですね」
時計は既に22時近くになっていた。
千夏先輩と俺は揃って溜息を吐いた。
「千夏先輩って休みいつ取りました?」
「いつだっけ。覚えてないや」
「わーあ」
「小山くんは?」
「忘れました」
「うちら本当お疲れ」
「お疲れ様です」
互いの拳骨をごちんと突き合わせた。心なしか千夏先輩の方が強かったので、少し痛かった。
「来週には休み取れたらいいなって感じです」
「わかる」
「とりあえずエナドリ煽ろう」
「はーい」
コンビニを出て俺らはエレベーターに向かっていた。
「エナドリも値段上がったね〜」
「ですね」
「財布に痛い……おっと」
「危ないっ」
躓いてしまった千夏先輩を、咄嗟に俺が抱えた。
驚いて顔を上げた千夏先輩と、覗き込んだ俺が変な距離を保っていた。
「……」
「大丈夫ですか?」
「あ、うん」
(近すぎたか)
「すみません」
「なんで」
「セクハラですかね」
「だ、大丈夫よ」
暗がりの中、わざとではないにしろ密着してしまったので気まずくなってしまった。
◯●
この日は、会社近くの仮眠室で寝ることになった。
(疲れた……)
質素な仮眠室だが、今の俺的には豪華なホテルのようだった。
俺はバタンキューを体現したようにベッドに落ちた。
(ねむ……)
夢の中に吸い込まれそうになった頃、メールの着信音が鳴った。
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