Solita 2
少し内容を修正しました
「お待たせしました」
数分後、ユウが現れた。その後ろから現れたのは……。
(Solita……)
「Solitaです。本日はお越しいただきありがとうございました」
「こ、こちらこそ」
何から言おうか忘れるぐらい、Solitaは綺麗な人だった。目鼻が整っていて、肌は白く透き通っていた。ドギマギしている俺をよそにSolitaはピシャリと言葉を発した。
「取材ですか」
「あ…えっと。はい」
「絵の感想を語りたい人がって兄から聞きましたけど」
「えっと、それもそうなんですが」
「来ないでください。そういうの嫌いなので」
Solitaはそう告げると、部屋を乱暴に出て行った。
「あの」
「……」
「ご理解ください。Solitaへの取材交渉はやめていただけますか」
「……すみませんでした」
「あの子は表に出るのが苦手なんです。SNSで流行ってから貴方のような取材交渉をしに来る方が何人も来ました。ですが皆様全てお断りしました」
◯●
「傷つけたくないんです、か」
働かない頭を無理矢理働かせ、俺は帰りの車を走らせていた。
あの絵がSNSで拡散されて以降、Solitaの元には取材依頼が絶えなかったらしい。初めは丁寧に断っていたものの、大半は食い下がることなくエスカレートしていった。そしてついに生活に支障が出てしまうほどになったとか。
(電話もSNSもやらない理由を考えてほしい、と)
Solitaは俺の鞄を見ただけで俺がメディアの人間だと気付いた。人並外れた観察力を持っている。
(人嫌いの人間観察力に長けた天才画家)
「負けた」
葛西さんに何と説明すべきだろうか。俺は思考を巡らせながら帰路に着いた。