心 1
Solitaの家に着き、インターホンを鳴らした。
「はい」
透き通った声で返ってくる。
その声を聞いた途端、更に心臓がうるさくなった。
「あの、小山です」
「……!」
インターホンからは返事がなかった。少ししてバタバタと音が聞こえ、Solitaが戸を開けた。
「びっくりした!」
Solitaは目を見開いて言った。
「ユウさんには伝えました」
「今日来れると思ってなかったから……」
よく見ると、Solitaの腕には絵の具が小さくついていた。
「製作中でした……?」
「ああ、はい。次の個展に向けて作ってました」
「そうだったんですね、すみません……来ちゃって」
「いえ。気にしないでください。どうぞ」
Solitaはふふっと笑った。
(可愛い)
◯●
アトリエに入ると、綺麗な絵画が目についた。
「綺麗な絵ですね。とても素敵です」
「ありがとうございます」
Solitaは絵画の前に座ると、筆を執った。
「絵って良いですよね。素人の俺でも惹き込まれる」
「絵は描き手の心を映す鏡なんです」
「鏡?」
「暗い気持ちの時は暗く、明るい気持ちの時は明るく。描き手の心の内側がよく出る」
「なるほど」
「だから、自分の絵を誰かに認めてもらえることが嬉しいんです。自分を見てもらえたような、認めてもらえた気がして」
Solitaはそう言うと、振り返って、今までにない笑みを浮かべていた。そしてその笑みには、Solitaの絵に対する思いがよく表れていた。
「だからこそ、作品づくりは妥協したくない」
「……」
「ん?」
どうしようもなく、美しかった。
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