Solita 1
内容を少し修正しました
建物の中は想像以上に狭かった。
こじんまりとした小さな部屋に何枚もの油絵や水彩画などが飾られていた。
(確かに迫力がある絵だな……)
力強さの他に、繊細さも感じられる。色使いが巧みで、見ている内に惹き込まれる。
いつしか出演交渉のことを忘れ、絵に見入っていた。
終わりがけ、建物の奥から1人の女性が現れた。
「ソリタ」
ユウの声に思わず反応する。ここで初めて俺は出演交渉のことを思い出した。
(Solitaって女性だったのか……)
個展が終わる時間を狙い、俺はSolitaへの接触を試みた。
◯●
個展は昼の12時に終わった。
観覧者が各々帰っていく中、壁掛け看板をCloseに裏返したユウにまずは話を聞いた。
「すみません」
「ああ。今日はお越しいただきありがとうございました」
「とても素敵な絵でした。惹き込まれて」
「ありがとうございます」
「あの絵を描いてるのってSolitaさんですよね」
「はい」
「もしよければ直接お話を……」
「ああ……絵の感想なら良いのですが」
「はい」
ユウの声が心なしか小さくなった気がしたが、気にしないことにした。
ユウによって、建物の中に再び通された。
「ここでお待ち下さい」
そうやって通された場所は、小さな応接間だった。