社食と仕事と眩しさと 1
Solitaに会ってから何日か経った。
俺は相変わらず忙しく働いていた。
担当番組のスペシャルが近々控えているため、目が回るどころか頭が爆発しそうな忙しさだった。
当然、フロアも殺伐とした空気になる。
いつもは温厚な千夏先輩も、イライラしているようだった。
「小山!」
「はい!」
葛西さんに限っては、態度を間違えたら殺されそうな雰囲気だった。
(こんなんでも楽しい明るい番組作ってるんだよな)
うちの番組は、どうやら巷では明日を生きる活力剤とまで揶揄されているらしい。
(どんな番組だよ)
「聞いてるのか!」
「はい!」
「ったく……」
葛西さんにあーだこーだ言われながら、スペシャル番組のために働いた。
どれほど働いたか忘れた頃、アキラさんから「飯食べてきな」と声をかけられた。
どうやら飯を食べる時間を逃してしまっていたらしい。
社食代と称して1000円を渡された。
御言葉に甘えて、社食でゆっくりご飯を頂くことにした。
(うちの社食、500円しないんだよな)
余ったお金で皆にチョコレートを買っていくべきだろうか。
食券機に群がる長蛇の列に並んだ。
ちなみに、関係者の俺らは、大体200〜300円で一人前のちゃんとした定食が食べられる。一般人はおよそ500円だ。
一般の方も出入りしているが、その方々は大体定食よりもタレントを目当てにここを訪れる。
働き始めてから社食でタレントに出会ったことはないので、タレントが社食を利用しているかどうかは俺には分からない。
(今度千夏先輩に聞いてみよ)
なんてことを考えている内に、食券を求める長蛇の列はいつしか短くなっていた。
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