アトリエ
案内されて入った製作部屋には、乱雑に画材と作品が置かれていた。
仄かに独特な絵の具の香りがした。
「適当に座ってください、汚いですけど」
Solitaはそう言うと、絵を描き始めた。
「いやいや、汚くないですよ。凄いですね、これ」
「……ありがとうございます」
ユウから会話のキャッチボールが苦手だと聞いていたのだが、思いのほかそうでもなかったようだ。
俺は部屋の隅にある小さな木の椅子に座り、Solitaの製作風景を眺めていた。
絵の具やそれに似たような画材をいくつも巧みに使い分け、立てかけられたキャンバスに色を入れていく。
Solitaの手慣れた筆捌きに見入ってしまっていた。
「絵、上手いですね。って当たり前か……」
「……」
Solitaは黙々と筆を進めた。
(空回りしかしてない……!!)
「すみません、扱いづらくて」
筆を置きながらSolitaが言った。
「いやいや!そんなことは。むしろ邪魔してるのは俺ですし」
「何か饗しぐらいできればいいんですけど、それらしいものができなくて。すみません」
「俺のことは本当、パシリだと思ってくれればいいんで。足りない画材とかあれば買ってきます!」
「……」
(あ、ヤバかったかな)
Solitaがふっと笑った。
(こんな風に笑うんだ……)
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