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来訪 2
「あああ、えっと」
情けない声だった。
頭の中でシュミレーションはしていたものの、上手く声が出なかった。
(情けない……俺……)
Solitaはそんな俺の目をじっと見つめると、「どうぞ」と小さく迎え入れた。
Solitaの家は、アトリエに併設されていた。
「お邪魔します」
「どうぞ」
カーテンの隙間から白い光が差しており、電気をつけなくても明るかった。
「適当に座ってください」
俺は古びた加工がされた小さな椅子に座った。
「お茶です」
お茶を2つ置いたSolitaは、俺の向かいの椅子に座った。
しばらく沈黙が続いた。
どちらかが破らないと終わらない、重く長い沈黙だった。
「絵を描いてきてもいいですか」
Solitaが口を開いた。
「ああ、はい」
Solitaは音を立てて席を立ち、ずんずんと歩いた。
そしてアトリエに繋がる廊下の前の戸で立ち止まった。
「来てもいいですけど」
「どこに……?」
「アトリエ」
「えっと……」
小さく早口だったので、俺はあまりよく聞き取れなかった。
「アトリエ」
Solitaは、今度は少し大きな声で言った。