夫として
「おかえり」
家に帰ると、ミナコが出迎えた。
カレーのスパイシーな香りが鼻を突いた。
「今日カレー?」
確信を持っていたが、あえて聞いてみた。
「正解……なんだけど!」
ミナコはニヤリと笑った。
「答えは、カレードリア!!」
「マジか!嬉しい」
「チーズのせちゃう?」
「うん!」
ミナコは料理上手だ。和洋中、どれも魔法のように作ってしまう。しかも美味しい。おかげでミナコと出会ってから6年、体重が8kg増えた。
「ソリちゃん大丈夫そうだった?」
カレードリアを食べながら、ミナコが聞いた。
ミナコはソリタに関して理解してくれていた。ミナコの前に付き合っていた彼女にはシスコンだと軽蔑されたが、ミナコは違った。俺とソリタのことを汲み取ってくれた上、むしろソリタと仲良くしてくれている。
(俺には勿体ない嫁さんだ…)
「ソリタと話したいって言ってくれた子が居て」
「え、あのメディアの人じゃないよね?」
「そう」
「大丈夫なの?」
「うん……」
ミナコが不安気な顔をしていた。
「実は、いじめの件、ソリタから話せたんだよね」
「え!」
「真摯に聞いてくれて。……それからこれからも話したいって」
「良い人だといいね」
「信じるのが早かったかな」
「……感覚って意外に当たると思うよ」
「そうだといいな」
「ソリちゃんと気が合うと良いね。ソリちゃんは何て言ってた?」
「驚いてはいたけど、嫌がりもしなかったかな」
「そうなんだ」
「ソリタが心許せる相手になると良いな……」
「そうだね」