個展
改稿しました
10日後。
個展が開かれるSolitaのアトリエへ向かった。
山奥の獣道に入り、40分程走ると1軒の小さなログハウスが見えてきた。個展当日だからか、車がかなり止まっていた。
(結構遠くからも来るんだな……そりゃそうか)
車を端に止め、建物に向かった。
「あなた」
突然声をかけられ振り返ると、背の小さな貴婦人が立っていた。
「Solita先生の個展に来たの?」
「はい」
「そうなのね。……もしかして初めて?」
「あ……はい。SNSで見て」
「あなたもなのね。最近多いのよ~」
「あの、Solita……先生ってどんな方なんですか?」
「Solita先生、凄いのよ。21歳にしてあんな絵を描けるなんてね。この個展、気に入った絵は買って帰れるんだけど、かなりの金額で買っていった人も居るの」
貴婦人は小さな声で具体的な額を呟いた。
「え!そんなに……」
「Solita先生、あまりお金の話を嫌うからお金のことはあまり言わないほうがいいわ。絵のこと以外はお兄さんのユウさんがきっちり管理してるみたいだから」
「そうなんですね」
「ええ。あ、そろそろね」
貴婦人が目を遣った先では、個展の観覧者の行列が出来ていた。1人の男性により、壁掛けの看板がOPENに裏返された。
「おはようございます。申し訳ありませんが、入場制限をかけております。ご容赦ください」
男性が頭を行列に向かって下げると、一定のリズムで行列が中に向かって動き出した。
「あの男性がユウさんなの」
「ああ、そうなんですね」
ユウが扉を閉める時、不意に目があってしまった。
「さ、私達も並びましょう」