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車内にて
帰りの車の中は、いつもより重たい空気になっていた。
「小山」
「はい」
「ユウさんに、なんであんなこと言ったの?」
眉間に皺を寄せた千夏先輩が呟いた。
「……すみません」
「謝ってほしい訳じゃなくて、単純に」
「……」
言葉にならない感覚だった。
いじめの話を打ち明けたSolitaはどことなく人と関わるのを諦めていないように感じた。そしてそれはユウも同じなのではと思った。
「Solitaさんとユウさんの力になれるかもしれないって思ったんです」
「力に…」
「お節介だし、非常識な真似をしたのは分かってます。でも、なんというか……こんな俺だけど、力になりたいし、なれるかなって思って」
「……言ってたね。そういえば。入社してすぐ」
「あの時の、覚えててくださったんですね」
「やたら真っ直ぐな目の人が入ってきたからね」