幼馴染
鍵を職員室に返し、私達は解散となった。
(絵は自分を見てもらえるから、か)
「……」
モテる男だけではない、赤羽はどこか親近感を持つような影をまとっていた。
(私とよく似ている)
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月曜日。この週はテスト週間で、部活がなかった。
理科室から帰る途中、幼馴染と私は2人で歩いていた。
3年生のフロアに差し掛かると、ふと昨日のあの会話を思い出し、なんともいえない気持ちになった。
「それでさ、昨日、」
「おーい!そーちゃん!」
聞き覚えのある声が私を呼んだ。
周りの1年生と3年生が少しざわめいていた。
「赤羽先輩!」
「ごめん、声でかかったね」
「ソリちゃん、知り合いなの?!」
「まあ、一応。部活の先輩」
「そうなんだ」
「赤羽先輩、場所を考えてください」
「ごめん、つい」
赤羽は誰彼構わず、場所問わず、知り合いを見つけたら声をかける癖があった。
「……」
「そーちゃん、前言ってた本さ、家にあったからテスト終わったら貸すね」
「え!ありがとうございます」
「じゃ……またね!」
礼儀も込めて、私は軽く頭を下げた。
「ソリちゃん、赤羽先輩と仲良いんだね」
「あ、まあ、うん」
(そうなのかな)
「いろいろ話もするし」
「ふーん」
幼馴染は珍しく不機嫌になると、階段を1人で上がっていった。