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画家のソリタ   作者: Suzura
11/65

沼る 1

ご覧頂きありがとうございます!


Solitaの過去の話です。


 


私の話を小山と千夏は何も言わずに聞いていた。


ーーーーーーーーー


あれは中学生の頃の話。


私が中学1年生の頃、赤羽は中学3年生だった。 


美術部に入部してすぐ、新入生歓迎会があった。新入生は私を含めて4人。私以外は皆同じ小学校出身だったこともあり、元の性格も相まって私はなかなか輪に入れなかった。




(……ちゃんが居ればなあ)



ある日の部活中のことだった。


「良い絵描くね」


俯いて淡々と絵を描いていた私に声をかけてきたのが、隣に座っていた赤羽だった。


「はい!……痛っ」


急に耳元で囁かれたので、私は驚いて椅子から落ちた。ドンという鈍い音とともに、部員が一斉にこちらに振り返った。

「大丈夫?ごめんね、驚かせて」

赤羽は少したじろいだ表情を見せると、私に手を差し伸べた。

「……すみません」

「こっちこそ、ごめんね…」

赤羽の助けを借り、私は椅子に戻った。


「背もたれがない椅子って嫌だよね」

「そうですね」


赤羽の噂は聞いていた。漫画のような話だが、いわゆる学校のアイドルのような存在だった。赤羽が動けば、女子の塊が動いた。赤羽が笑えば、男女問わず骨抜きになった。赤羽に片想いしている人はたくさん居たし、教師の中にも片想いしている人がいるとか。


赤羽の後を追って美術部に入る人も大勢居た。




噂も相まって、この時は赤羽という男にある種の恐ろしさを感じた。



優しい微笑みにはどこか毒があり、紡がれる言葉と態度は生ぬるい罠がはい巡らされているようだった。



(近づいてはいけない存在)




そんなことを考えつつ、私は筆を執った。

どんな美貌の持ち主で、性格が良くても、自分に合うとは限らない。関わってはいけない人もいる。




「良い絵描くんだね、ソリタさん」

「ありがとうございます」

「俺、好きだな。ソリタさんが描く絵」

「……」

「ごめんね、邪魔して。頑張って」


赤羽はそう言うと自分の絵に戻った。



「……」



この日を境に赤羽はよく話しかけてくるようになった。













数日以内にまた更新するので、良かったら覗いていただけると嬉しいです。


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