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タンネルブ3


人の流れに乗っていたら、いつの間にか繁華街に出た。

人が多いところは少し安心する。

巻き込まれなさそうなところが良い。

私は道の端に寄って、街を眺めてみることにした。


庇のある建物。

沢山の香辛料と思われる木の実や葉っぱや粉末。

白い服を着てる人が多い。

女の人はあまり居ない。

おじさんと子供が目立つ。

みんな声が大きい。

顔は浅黒かったり、白かったり。

真っ黒な皮膚の人は居ない。

日本的な顔の人もいない。

スラブアラブインドって感じの人たち。


異国情緒だなあ。




ドン!


激しくぶつかられた。

が、私は石なので見た目に反して重いし、硬い。


ぶつかった方が弾かれて、転倒した。


て、てめえ、この獣人!


なぜ、お前がキレる?

私、思いっきり端っこに居ましたよね?

立ってただけですよね?

電柱にぶつかって電柱にキレるタイプの人か?

そういうヤバい人からは逃げるに限るのではなかろうか?

タシュクの町の再現は、さすがに避けたいぞ。


私は適当な方向に逃げ始めた。


待ちやがれ、この獣人!

逃げられると思ってるのか、この畜生!

的な事を言いながら、何人か追いかけてくる。


まずい、思ったより追いかけて来る人数が多い。

タンネルブの町のスリ軍団とか、そういう感じの連中かもしれない。

そういや、商人のおじさんにも注意されたっけ、一ヶ所に立ち止まるなって。

ごめん、おじさん。

アドバイス、何の役にも立たなかった。


細いクネクネした路地を走り抜ける。

住宅地っぽい。

いくら走っても疲れないので、上手く逃げられたかもしれない。

後ろをチラホラ振り返りながら、スピードを緩めたら、飛び出してきた子供にぶつかった。



ぶつかられた子供は、ゴロゴロ転がり、止まって、泣き始めた。


おう、ごめんよ、ワタシが悪かった。


そう思って駆け寄り、

ケガはない?大丈夫?ゴメンね。

と、介抱しようとしたら、何処からかナイフが飛んできた。


お?


その子から離れな!獣人!

獣人が入り込んだよ!

みんな来ておくれ!


路地のあちこちからワラワラとおばさま達が現れる。

手には包丁やオノ。

殺す気しかありませんか?


きっついわー

久しぶりにきついわ、こういう悪意。


私は無言で、すっと子供から離れて、逃げ道を探す。

来た方向、行く方向が既に封鎖されていて、

私は少し先の角を曲がってみた。


おばさま達はオウオウ叫びながら、追いかけて来る。

さっきのスリ軍団なんかよりよっぽど怖いわ。


あっという間に路地は行き止まった。



うやー


こ、これは強行突破しかないパターンか…

やだなあ。本気でやだなぁ。

壁登るか!そうしよう!

爪を立てたら、壁くらい登れる!


爪を立てたら、壁がボロボロと崩壊した。

おーう!

ま、いいか。

そう思って、壁の残骸を超えようとしたら、後ろから何者かに抱えられて、民家に連れ込まれた。



騒ぐな、黙ってろ。


と、お兄さん?くらいの年齢の男に囁かれ、さらに奥の部屋へ。

その部屋の入り口にあった麻袋のような汚ない布を被せられた。


ドンドンドンと入り口のドアが叩かれる。


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