出会い
もしもある日、自分がこんな事になってしまったら
この物語はごく普通の一般市民があらゆる手段を使って脱出をはかり、協力し、そしてときには勇気を出して強大な敵に立ち向かう。
という点を意識しました
そこはまさに異常な光景だった…。
いつもの平和な景色とはまるで打って変わって別世界だった。
大通りに集まる無数のパトカー。
街にはおびただしい数のゾンビで溢れかえっている。
あちこちから人の悲鳴が聞こえてきて、そこはまさに地獄絵図の中にでもいるようだった
…俊雄は無我夢中で走った。
「何で、何でこんな事に…」
俊雄は何度もそうつぶやいて、ゾンビを避けながらただ走っていた。
俊雄の頭上に広がる夜空は曇っているせいか、
星も月も見えない。
どれくらい走っただろう…
何の考えもなしに、絶望に囲まれた空間を夢中で振り切るようにただ走っていた
しだいに悲鳴も銃声も聴こえなくなった、
聴こえるのは死者の呼び声ばかりだ。
「独りは嫌や…。
誰か、誰か助けて!
誰かおらんのか!?」
俊雄は泣きそうになりながら、嘆いた。
ゾンビがうごめいてる闇の中に独りでいるのはあまりにも心細い
だがしばらく走っていると、ふと交番が目についた。
「あそこやったら何とかなるかも…。」
俊雄は迷わず交番へ走っていって交番の前に着くと、
「頼むからゾンビ出てくんなよ〜。」
とそう言って恐る恐るドア開けた。
開けた瞬間、誰かが叫んだ
「誰だ!」
驚いて声のほうに目をやると、
そこにいたのは若い男だった
すると俊雄は思わず叫んだ
「おう!…に、人間!…」
俊雄の顔に笑顔が溢れる。
俊雄は嬉しかった。
地獄の中で仏に会ったようで、思わず泣きそうになってしまった。
そして俊雄は続けて声を震わしながら言った。
「や、やっと…
人間に会えた。」
男もさぞかし嬉しかったろう。
こんな死者だらけの街の中でまだ生き延びている人間に出会えたことがどれだけ嬉しいことか
二人は何もない真っ暗な空に、たった一つだけ星の光が差したのを確かに見た