〜始まりの刻〜
火事だ!逃げろ!その叫び声と奥に見える煙と共にこれは現実だと瞬時に理解した…
話は1週間前のあの日に遡る。
ここは西京都の中心に位置する私立雄煌学園の生徒だ。ここでは学力が絶対至上主義だ。クラスは上から
〈雄秀〉〈雄選〉〈雄進〉〈煌特〉〈煌利〉〈煌運〉
〈煌運〉はスポーツ推薦だけのクラス、化け物たちの集まりだ。
クラス順に階層は決まっており1階は下駄箱。2階は職員室。3階は〈煌運〉の1,2,3年と3階からは階層が上がる度に上のクラスになり8階は〈雄秀〉になる。6階以上の雄生はエレベーターを使える、5階以下の煌生が使ったらクラスが下に落ちる。
そして肝心の俺 山本 松太郎のクラスは7階の〈雄選〉
いつも通り暑苦しい満員電車に押しつぶされること小一時間雄煌学園駅を降り本校を見ながら桜並木を歩くと堂々とそびえ立つ本校が見える。ため息混じりに門をくぐると毎回こいつがいる
「おっはーしょーちゃん!」
「高校生になったんだからそのしょーちゃん呼びはやめてくれよ…」
「ごめんごめん笑」
こいつは0歳の時から腐れ縁の武田隼祐
サッカー部 182cm イケメン 友達多数 しかし馬鹿だ。
あの日もいつも通りあいつ《武田》が先にドアを開け俺が後からついて行くと思っていたが、武田はサッカー部に用事があると俺が1人で平穏で退屈な授業を受けに無駄にでかいスライド式のドアを開け、座ろうとした時、頭に違和感を感じた。
なんだこれ!?頭に電気が走ってるようだ。痛くはないが不思議と痛いように感じる。
動けないし、喋れないどういうことだ?
「···ズー···ズーズー」
なんだ?脳に直接かたりかけられてる。
「みなさーんこんにちは!」
誰だ?
「今日本中の小中高の学生の脳に語りかけているんだっちゃ!自分の学生時代を思い返すと···」
何だこの声は男でも女でも機械でもない認識することができねぇ
「さぁていきなり本題に入るっちゃ!これから皆さんには日本を統一してもらいまらうんだっちゃ!仲間はクラスのメンバー!
今!この時間は6歳未満19歳以上の人は止まっているんだっちゃ!皆さんの先生を見ればそれは分かるだっちゃ!だから今は法を犯してもOK勿論人殺しもありだっちゃ!1年後日本を統一したクラスには自分に会わせて上げる権利を持つことができるんだっちゃ!
ルールは1つ!クラスで宝物を一つ決めそれが奪われたら負け奪ったら勝ちっていうルールだっちゃ!
奪われたチームは奪ったチームの言いなりにならなければならないんちゃ!全員殺すのもありだし、奴隷にするのもありだっちゃ
宝物は1週間後に各クラスの委員長に聞きに行くから決めといてだっちゃ!
じゃあ今日から1年後の2050年5/13までスタートだっちゃ」
と、いきなりの出来事に騒ぎ立てるクラスメイト、不安な気持ちを騙そうと嘘だと信じ込むクラスメイト、と様々な解釈をしているが俺を含め教室にいる全員は恐怖心を隠しきれていない様子、というよりこれが現実なのかまだ分かってないと言った方がいいだろう。
恐怖心を共有するためか朝からクラスは騒々しかった。
「皆 落ち着いて!1回俺の話を聞いて欲しい」
こう話すのは委員長の道明寺慶喜
「今の話が本当だとしたら学校ではここのクラス以外も危険だ、だがこの教室にはヘルメットと箒それ以外は役に立つものはほとんどない。だからこのクラスが丸腰で戦わないように装備を整えておく必要があると思うんだ!食料も溜め込んで置いた方がいいだろう。だから分担し···」
ガラガラと大きな音を立て道明寺の話を遮るようにし疲れきった武田がもどってきた。きっと階段からずっと走ってきたんだろう。教室に入ってくると共に
「今の話みんなは聞こえたか?サッカー部の集まりが終わってエレベーター待ちしてたらいきなり今の話が頭に入り込んできて」
「武田くん今喋ってるのは僕だ少しだま···」
「サッカー部の〈煌利〉の生徒がいきなり〈煌運〉の生徒に殴り掛かり取っ組み合いの喧嘩になってて···だから外に出るのは辞めておいた方がいい。ごめんな委員長これだけは伝えておきたかったんだ」
能天気な武田がこんなに焦って委員長の話を腰を折ってまで話すということは事実なんだろう。