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異世界の最高神に勇者として呼び出しくらった話  作者: Monica
第1章 増え続ける魔物の謎
9/22

第8話『冒険者』

前回のあらすじ

エレノア「三姫神の皆様すごい!アイシャ様最推し!」

剣人(アイシャ・アストライア・ユスティティアって韻踏んでるよな…)

真弓(3人とも名前長い…)


またもや遅れてごめんなさい。今回は冒険者や魔物のランク決めに手間取ってました。今回も説明回です。


それでは、お楽しみくださいませ。



宿屋で朝食を済ませた剣人達は、ルークの案内に従い冒険者ギルドへと向かった。


「着いたぜ!ここがアンスリウムのギルド、『ラミー』だ」

「ここが…」


目の前にあるのは、いかにも『中世』と言った雰囲気の建物だった。


「各国にギルドはいくつかあってな。基本的には街に1つ。でもあんまり小さい街だと質が悪かったりするし…最悪ギルドが無いってとこもあるからな。依頼したかったらギルドがある町まで向かってかなきゃならねぇ」

「成る程…それかなり大変じゃないか?」


ギルドは何処にでもあるわけではない。小さな街では当然それを運営するだけの資金が足りなくなるわけだし、金が足りなければ自ずと質も落ちる。悲しいことに金の量と質の高さは比例するものなのだ。


「ああ、だからこそ恵まれてんだ、この街はよ」


そう言いながらギルドのドアを開けて中に入った。


第一印象は、『中世の酒場』であった。カウンターの様なものが置いてあり、丸いテーブルがいくつか見受けられる。みな椅子に座って武器の手入れをしていたり、酒を飲んだり、壁の張り紙を読んでいたり、思い思いの時間を過ごしている。床に座り込んでいる者もいた。

それらを尻目に、ルークはカウンターの様な場所に向かう。


「まず、ここが受付だ。ここで依頼を引き受けたり、逆に依頼を出したりできる」


受付には、1人の女性が座っていた。


「初めまして!私は受付嬢のフランシスと申します!」


その女性は自らを『フランシス』と名乗る。淡いピンク色の髪を片側で1つに纏めた、美しさよりも可愛らしさが強調された見た目だった。


(…ピンク髪って実在すんだなぁ)

(うわぁ…本当にピンク髪だ。これ地毛?)


2人の感想はこれである。今までゲームなどでピンク色の髪のキャラクターは見たことがあるが、本物のピンク髪を前にして、感嘆とも驚きともつかない感情になった。日本人どころか地球の人間では有り得ない色素だからである。


余談だが、子供向けの魔法少女アニメにおいて登場人物の髪色がピンクやオレンジだったり、奇抜な髪型をしていたりすることに真弓はしばしば懐疑的な想いを向けている。変身する時ならまだしも、平時からあの容姿であることは有り得ないと思っているのだ。


「ケント、マユミ。こちら受付嬢のでフランシスさん。依頼の受注やら登録やらはこの人がやってくれる。好奇心が服着て歩いた様な人だ」

「ちょ、ルークさん!その紹介の仕方なんです⁉︎」


2人によれば、この『フランシス』という受付嬢、好奇心が服を着て歩いている様な者だという。少しでも気になることがあればその疑問が解消されるまで根掘り葉掘り聞きまくる。話し相手の表情や反応など一切気にしないので、たまに相手の触れられたくないところまで手を突っ込んでしまうのが短所なのである。とは言えそれを自覚しているので、段々と直ってきてはいるが。


その明るい笑顔や性格も相まって、アンスリウムの街では一二を争うほど人気の女性なのだという。

因みに、彼女は恋愛に一切興味を持っていないらしい。曰く『好きなもののためなら恋人すらも犠牲にしてしまいそうで怖い』のだとか。


「フランさん、こいつらはケントとマユミ。冒険者になりたいみたいだから、教えてやってくれ。オレは教えるのが下手だからな」

「承りました!あ、私めのことは『フラン』と呼んで頂いて構いません!寧ろ呼んでください!」

「あ、おう…えと、フランさん」

「よろしくね、フランさん」


剣人と真弓が『フラン』と呼んだことにより、フランシスは満足気にニコッと微笑んだ。


「では、ご説明致しますね。まずは、冒険者の仕事にはどんなものがあるか、です」


そうしてフランシスは説明を始めた。


まず、一口に依頼と言っても色々ある。

魔物を倒すことは勿論、森林や湿地などの土地に魔物が住んでいるか、住んでいるとしたらどういった魔物なのか、その魔物はすぐに襲ってくるほど気性が荒いのか、そういった諸々の調査を頼まれることがある。その土地にこういった施設を建てたい、その土地に住みたいなどの願望を持つ者が一定数存在するが、その為である。

他にも理由としては、その近くに家を構えているが、自分には小さい子供もいる。遊んでいて気づいたら魔物に殺されている、なんて事態が起きない様にしてほしい、など様々だ。


その他、行方不明者の捜索依頼、ダンジョンに行って指定の武器を取ってきてほしい、この魔物の素材が欲しい(これは主に薬屋や鍛冶屋からである)など、冒険者と言っても戦うばかりではないことを説明した。


「続きまして、冒険者のランクと魔物のランクについてご説明致します」


そう言うとフランシスは、机の引き出しから大きな丸めた紙を2つ取り出し、その内の1つを手に取った。そして、人差し指を向ける。すると、紙はひとりでに広がり、空中で静止した。


((魔法…!))


明らかに普通の人間が出来る芸当ではない。ならば、魔法しかないだろう。生まれて初めて見る魔法に、剣人と真弓は表情で驚きを表し、体を強張らせた。


「冒険者のランクはS〜Gの8段階に分けられています。Sの方々は神話級の存在、AやBの方々は英雄の様な扱いを受けています。Gに近ければ近いほど、弱いと言いますか…冒険者として未熟だと言うことですね」


フランシスは紙を広げ説明する。フランシスが広げた紙には以下のことが書いてあった。


Sランク 神話級の存在。世界全体で見て両手の指に入る

     か入らないかぐらい。あり得ないくらい強い。


Aランク 英雄。国に数えるくらいしかいない。

     バカみたいに強い。


Bランク トップクラス。そこそこ数が多い。かなり強い。


Cランク ベテラン。2番目に数が多い気がする。

     結構強い。


Dランク 中堅どころ。かなり数が多い。そこそこ強い。


Eランク 取り敢えず一人前扱い。冒険者の全体の割合で

     見れば1番数が多い。ちょっぴし弱い。


Fランク 新人、見習い。運が良ければ生き残れる。

     3番目くらいに数が多いような気がしないでも

     ない。かなり弱い。


Gランク 駆け出し。1番死にやすい。結構弱い。

     それなりに数ある。


((ちょっと面白い説明文だな…))


説明文の端々にフランシスの主観というか、そんな様なものが入っている。おかげで少しコミカルに思えてきてしまうのだ。隣にいる真弓も微妙な表情をしていた。


「勿論、強さだけでランクが決まるわけではありません。一定数の依頼をこなすとギルドの方で昇格試験を受けられるようになります。それに合格したらランクが1つ上がる、というわけですね」

「ランクが降格する場合はあるんですか?」


間髪入れずに真弓が質問する。


「はい、勿論ございますよ。依頼主の意向にそぐわない方法で依頼を達成する、ということが一定回数続けば降格処分となります。冒険者とは依頼主の願いを叶える為に依頼を受けるのですから。あとは、修行にかまけてばっかりで依頼を全く受けない方も降格処分とさせて頂いております」

「成る程…依頼主の意向にそぐわない方法とは?」


「えーっと、例えば…とある魔物の素材を綺麗な状態で取ってきて欲しい、と依頼されましたが、採取する時に剣で傷をつけて欠けてしまったり、魔法攻撃が当たって成分が変わってしまったり効果が落ちてしまった時などです。特に鍛冶屋の方々は素材を完璧な状態で扱いたいので、傷がつくはおろか魔法による成分変化、及び効能の低下などを酷く嫌うのです。その辺り神経質なんですよ」


魔物の素材を取ってきて欲しいという旨の依頼は良くある。その際に解体の技術が良くなく、素材に傷がついたりすることがある。

また、魔物を倒す時に指定の部位に魔法攻撃が当たってしまい、成分がある程度変化する場合がある。

その様なことは素材を取るときにあってはならない。鍛冶屋は傷付きや成分変化を酷く嫌うし、薬屋も傷こそついても構わないとしているが、彼等にとって成分変化など以ての外なのである。


「さて、次は魔物のランクの説明ですね」


そう言うとフランシスは冒険者のランクについて書かれた紙を丸めて引き出しにしまい、もう1つの丸めた紙を広げた。なお、この動作を全て指の動き、即ち魔法のみで行なっている。


「魔物のランクもS〜Gの8段階に分けられています。Sランク魔物はもう世界滅亡の危機と思って下さい。Gに近ければ近いほど弱くなります」


彼女が広げた紙には以下のことが書いてあった。


Sランク 世界滅亡の危機。ヤバいし死ねる。

     超級悪魔や魔王、一部のドラゴンなど。


Aランク 大陸崩壊の危機。目の前にしたらチビる。

     上級悪魔、ドラゴンの大半、

     魔王の眷属のリーダー(一部)など。


Bランク 国の危機。無策に立ち向かう奴は馬鹿としか言

     いようがない。 騎士団が全滅する可能性が高

     い。魔王の眷属の部隊、中級悪魔、極一部のキン

     グ級魔物など。


Cランク 大都市の危機。素人は一刻も早く逃げるべし。

     騎士団がギリギリ勝てるかも知れない様な気

     がする。キング級魔物、下級悪魔など。


Dランク 街の危機。はた迷惑。衛兵だけじゃ到底足りな

     い。ワイバーン、ジャイアントウルフ、鬼族など

     


Eランク 村の危機。取り敢えず騎士団に任せればなんと

     かなる。レッサーワイバーン、ダークウルフの群

     れなど。


Fランク 極小規模の騎士団や、小規模商隊が全滅するか

     もレベル。ゴブリンの群れ、マギウルフの群れ、

     リザードマンなど。


Gランク 戦闘術を1通り学んだ人間は倒せる。素人でも倒

     せるレベルまであるので実際はピンキリ。

     スライム、ゴブリン、レッサータラセクトなど。


そして、今度は剣人と真弓の思いが1つになった。


((『ヤバいし死ねる』…?))


またもや説明文の端々にフランシスの感想が見てとれる。世界が滅亡するかもしれない魔物の説明文がやたら面白く見えてちょっと笑いそうだからやめてほしい。


「冒険者と魔物の説明に関しては以上でございます。何かご質問は?」

「特に無いです…気になることができたら聞きます」

「はい!いつでもお待ちしておりますね!」


本当は『魔王』や『悪魔』など、気になることはたくさんあるが、彼女は所詮受付嬢である。

『蛇の道は蛇』の言葉通り、魔王や悪魔に詳しい者に聞いた方がもっと確実だと剣人は思った。


「では、冒険者の申し込みですが…先に武器を確保して頂きたいのです」

「武器?」

「はい、こちらでは『職業』というものがありまして、簡単に言うと役割ですね。剣を使ったり魔法を使ったりなど、種類は様々です。冒険者の申し込みの際に職業も記録する必要がございますので」

「武器か…どこに売ってるんだろう」


真弓が怪訝そうな声をあげる。何せ武器など使ったこともない。売っている場所は勿論のこと、使い方などもわかるはずがない。2人が困っていると─


「よろしければ、私が武器屋を案内しましょうか?直接案内はできませんが、紹介状を書いて、お2人に特別な武器を作って頂くこともできます」

「良いんですか⁉︎」

「はい、あの武器屋の店主とは親しいので。『リリドラ』という武器屋です。少々お待ちくださいね」


そう言うとフランシスは立ち上がり、奥の部屋へ入っていった。5分すると、真っ白な封筒を持ってやってきた。


「こちらを店主に見せれば、快く引き受けてくれると思いますよ。人が良いので」

「ありがとうございます!」

「それじゃあ、オレ達が案内してやろう。行こうぜ!」


こうして、剣人達は武器屋『リリドラ』へと向かうのだった。



余談


剣人と真弓を勧誘してきた女性

『リリアーナ・フィリス』

名前の響きが可愛すぎることを気にしているため初対面は必ず『リア』と名乗る。

銀髪ショートヘアに赤い瞳の騎士道精神に溢れた女剣士。

…あれ?もしかしなくてもくっころ?


名前があるモブみたいな感じですけどいつか登場させるかも。


『フランシス・ファルコナー』

アンスリウムのギルド『ラミー』の受付嬢。

好奇心の擬人化みたいな人。

ピンク髪のサイドポニーに赤目の眼鏡っ娘。胸はCカップくらい。次回で彼女の交流関係を明らかにする予定。

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