動き出す組織
生徒の模擬戦を観戦していると、隣に座ったアリスティアが声をかけてきた。
「ちょっと良いかしら?」
まさか声をかけられると思っていなかったテオだが、内心驚きつつもそちらを向いた。
「何か用ですか?」
「あなたの名前よ。それに敬語じゃなくていいわ。クラスメイトじゃない」
「わかったよ。それで俺の名前?」
「そう言ってるじゃない」
教室で自己紹介をしたし、さっきも先生が名前を言っていた気もするが、覚えていないとは……と内心思うも声には出さない。
「テオ」
「そうじゃない。フルネームよ」
「テオ・オスクル」
「そう。あなたがセシルの言っていた弟なの」
ここで姉の名前が出て来るとは思っていなかったテオは、普通に驚いた表情になる。
「え? 姉さんを知っているの?」
「ええ。パーティーで会ってからは少し話すようになって、そこから一緒に訓練するようになったの」
「へぇ~そんなことが……にしてもなんで俺の名前が?」
そこが疑問だったが、アリスティアは素直に答えてくれた。
「たまに一緒になって訓練するときに言っていたのよ」
「姉さんが俺の事を? なって言ってた?」
「筋は良いのにまったく成長しないって」
テオが実力を隠しているのだから当然と言えば当然だ。
あえて成長してないように見せているのだから。
「手厳しいね」
「でも評価はしていたわ」
「そうなの?」
「ええ。魔力の扱いに関しては弟から学んだって」
「そうなんだ。姉さんに比べればまだまだだと思うけどね」
「そう。でも私はあなたと模擬戦をして分かったわ。今後強くなるって」
「ありがとう。期待に応えられるように頑張るよ」
それからしばらく雑談し授業が終わるのだった。
……
…………
………………
皆が寝静まった夜、テオの元へ六人の人影が何処からともなく現れた。
身に纏うのは黒の衣装。
ネグロヘイムの最高幹部にして最古参の魔剣士、【六影】である。
その中の一人、白い髪を揺らしながら一歩前に歩み出る人物、ヴァイスである。
「――ノワール様、準備が整っております」
椅子の肘掛けに肘を掛け、足を組み頬杖を突いている人物、ノワールは六人に背を向けたままただ一言。
「……そうか」
呟き立ち上がったノワールの姿は黒い魔力に包まれたかと思うと、先程まで制服だった衣服が黒いロングコートにフードといった姿に変わっていた。
そして配下達に……
「――さあ、今宵の宴を始めるとしよう」
不敵な笑みを浮かべるその姿は、まさしく帝王そのものであった。
「「「「「「御意」」」」」」
そしてノワールの言葉にヴァイス達も不敵な笑みを浮かべ、ノワールと同時にその配下は部屋から消え去るのだった。
【作者からお願いです】
『面白い』『続きが気になる』って思った方は下の評価を☆☆☆☆☆から★★★★★にするのと、ブックマークをお願いします!
作者の励みと活力源になります!!
何卒よろしくお願いしますm(_ _)m