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家に帰ろう

 復興作業に取り掛かるのだが、内容は建物の撤去作業や、食料難の者達に配る炊き込みだ。

 セシルは撤去作業に、エリナは炊き込み作業となった。

 テオはエーデスに連れられ建物中へと入って行く。


 部屋へと連れていかれ椅子に座った。


 そして跪く配下達。


「今回の計画は誰が指揮を取っている?」


 テオはエイデスに問う。


「私です」

「そうか。ならこのまま、この国にはシュトルツ商会無しでは生きていけなくしろ」

「それは陰からこの国を操れ、そう言うことでしょうか?」

「察しが良いな?」


 テオのその言葉に「恐れ入ります」と頭を下げるエイデス。


「クーデターが起きるんだ。起きないように裏から全てを管理し、ドグマの侵入も許すな。見つけ次第駆逐しろ」

「御意に!」


 テオの言葉にその場の配下達が跪いた。


「そうそう、話が変わるが」

「何でしょうか?」

「他の六影達は何をしている?」

「はい。ヴァイス、イリス、ルージュの三名にて、他の配下を引き連れ王都周辺のドグマのアジト及び研究施設を潰しに向かっております。他はグリューンがレスティン王国王都に戻り指揮を取り、ティスラと私でここの指揮をしております」

「わかった。そろそろ俺も作業をするとしよう。」


 テオの言葉に反応するエイデス。


「テオ様も行かれるので?」

「姉さんもエリナも動いているんだ。俺だけ高みの見物の訳にもいかないだろう?」

「確かにそうですね。何をされますか?」

「そうだな……その前にこの王都にいたドグマは全て片付けたのだな?」

「はい。この王都は全て、シュトルツ商会を通じてネグロヘイムの手に落ちました」

「よくやった。もう聞くことは無い。上手く管理しろ」

「はっ」


 席を立つテオ。


「俺もそろそろ一仕事しようか。このままじゃ姉さんにサボるなと怒られてしまう」

「分かりました。何をされますか?」

「瓦礫の撤去作業で良いだろ」

「分かりました」


 テオは去り、瓦礫の撤去作業へと向かうのだった。


 それから数日。

 テオ達はひたすら瓦礫の撤去作業を行っていた。


 数日経った夜。

 ヴァイス達が周辺の掃討から戻ってきて報告をしてきた。


「周辺のドグマ掃討、滞りなく終わりました」

「ご苦労」

「はい。研究施設も燃やし、資料は手に入れておきました。こちらです」


 手渡される資料を受け取り目を通す。


 そこに書かれていたのは邪神の復活方法とその手順。

 他は強化人間などの更なる研究成果であった。


 次に開かれた資料に、驚くべきことが記載されてた。


「魔族?」


 テオの呟かれた言葉にヴァイスが説明した。


「魔族とはこことは別の大陸に存在する邪神を信奉する種族だとか。その個々の力は強大だと書かれておりました」

「なるほどな。では魔族に関する資料も探せ」

「はっ」

「俺は戻る。何かあった場合はすぐに知らせろ」

「御意に」


 そうしてテオは戻るのだった。



 ――翌日。

 テオ達はついにレスティン王国へと帰ることになった。


「もうこの国ともお別れね」


 セシルの言葉にテオとエリナは頷いた。

 誰の見送りも無い。


「でも良い経験は出来たんじゃないのか?」

「そうね。エリナも十分に頑張ってくれてたしね。もちろんテオもだけど」

「俺はオマケかよ……」


 テオのガッカリとした言葉に笑うセシルとエリナ。


 そこへ馬車を操る御者席に座る人物が話しかけてきた。


「皆さま今回は手伝っていただきありがとうございます」

「気にしないでください。こうして馬車まで出していただいて」


 御者席に座る女性の言葉にセシルが返した。

 この馬車はシュトルツ商会が手配した馬車であり、この女性はネグロヘイムの者でもある。


 そんな事には気が付かないセシルとエリナ。

 だが、セシルはテオとエリナへと小声で呟く。


「この人、強いわね」

「え? そうなの?」

「そうなのですか?」


 見ただけで大体の実力が分かるテオであるが、知らんふりをする。

 エリナにはまだわからない様だが……


「そうよ、あの身のこなし。私と同等かもね。シュトルツ商会、見ただけでも手練れが多かったもの」

「へぇ~、用心しているんだね。強い分、馬車が狙われても対処が出来るからじゃないか?」

「そうかもね。一体どんな訓練をしているんだか」


 呆れるかのように呟いたセシルは寝転び昼寝を始めた。

 それに付き従うようにエリナも昼寝を始めてしまった。


 現在この馬車に乗っているのはテオ、セシル、エリナの三名に、御者席の女性が一人と商会の護衛兼従業員が二名だ。

 つまりはテオの配下であった。


「テオ様も寝てはいかがですか?」


 護衛の提案に、隣で寝息を立てる二人を見て頷く。


「そうする。任せた」

「はっ」


 そうしてテオは寝そべり寝息を立て始めるのだった。






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