クーデター計画
ベントグルム王国王城にて。
「何っ!? それは本当か!」
声を荒げた身なりの良い男性、国王ガイル・ヘン・ベントグルムが跪き報告する兵士へとそう告げた。
「はい。このままではクーデターが引き起こるかと思われます」
「わかった。下がってよい。後ほど指示を出す」
「はっ! 失礼します」
下がって行く兵。
残された部屋にて、国王は数名の家臣と共に考える。
「どうする? このままクーデターが引き起これば周辺国に攻め込まれる可能性がある」
「ですが、クーデターが起きてもすぐに鎮圧できるのでは?」
「出来たとしても被害は大きくなるだろうな」
口々に話し合う。
結局は王都の警備を厳重にするということになり解散となった。
その頃、とある場所にて。
「計画の方は?」
低い男性の声に、一人の人物は答えた。
「はい。順調に進んでおります。ですが、すでに国には気が付かれたと思った方がよろしいかと」
「だろうな。奴等には手を回したのだろうな?」
「ご指示通り伝えて参りました。歩約手も明日には準備には入るかと」
「わかった。では、引き続き手回しを頼む。決行は今から一週間後だ」
「了解です。みなにそのように伝えておきます」
そう言って去って行き、部屋には男一人となった。
男は椅子に座りながら笑みを浮かべる。
「これでこの国は我らの物になるも同然。あとは計画通り進めば……」
部屋に男の不気味な笑い声が響いた。
こうしてベントグルム王国王都にて、クーデターの計画が進んでいることにテオ達はまだ知らなかったのであった。
「姉さんにエリナ、昨日あんなに食べたのにまだ食べるのか……? それに朝からこんな肉を……」
流石に朝からがっつり食べれないテオ。
それに対してセシルとエリナはバット振り向いて息ぴったしに答えた。
「「当たり前よ(です)!」」
ガックシと肩を落とすテオ。
そのままテオも二人に付き合うこととなる。料理以外にも買い物に付き合わされ、案の定荷物持ちとなった。
買い物の最中、外のベンチに座るテオの背後のベンチに誰かが座った。
フードを被ってはいるが、テオにはその人物が誰か分かっていた。
「イリスか」
「はい。テオ様」
この姿の時はテオと呼ばれている。
「何か情報を掴んだのか?」
「この王都にドグマの最高幹部、【ナンバーズ】の一人が何かを計画しているようです」
「それが何か掴んでいるか?」
「すみません。まだ……」
申し訳なさそうな表情となるイリス。
「そんなに気にするな。責めてはいない。昨日の今日でよくここまで情報を集めた」
「――ッ! はい」
小さい声だが元気な返事が返ってきた。
「引き続き頼んだ。期待している」
「――ッ! はいっ」
ブンブンと元気に振る尻尾。テオには見えないが、気配で喜んでいるのが分かる。
「では失礼します」
立ち上がり人込みへと消えていくイリス。
(ドグマの幹部、か……)
顎に手をやって考えていると呼ぶ声が聞こえた。
「――テオ!」
「お兄様!」
前を向くと、二人が両手に荷物を持ってテオの方へと歩いてきていた。
「座ってないで早く荷物を持ちなさいよ!」
「お兄様、休んでないで持ってください!」
「それくらい自分で――」
「「持つの(です)!」」
「……はい」
こうしてテオは夕方まで荷物持ちとなるのだった。




