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魔剣大会終了

 二人の戦いを見ていたテオ。


(アリスにはまだシスティールの相手は荷が重かったようだな。実力はシスティールの方が上と言ったところだろうな。アリスにはまだまだ成長が見られそうだ)


 テオはおもむろに席を立ちあがった。


「どうしたテオ?」

「いや、アリスを労いに行こうと思ってな」

「そうか。大勢で行っても迷惑だろうし、俺達の分も頼むよ」

「ああ、わかった」


 ヴェルの言葉に頷いたテオはそのまま医務室へと向かう。

 医務室の扉をノックする。


「テオだ。入っていいか?」

「ええ」


 入ると、傷の治療を受けるアリスの姿があった。


「お疲れ様」

「ありがとう。それで? 笑いに来たの?」


 折角お見舞いに来たのにそんな言葉を吐かれてしまう。


「違うさ。あの【舞姫】相手によくあそこまで戦えたなってさ」

「そう」

「ヴェル達も凄いって褒めていたぞ?」

「……ありがとう。でも……」


 アリスは顔を俯かせる。


「一度負けたくらいで落ち込んでどうする。勝つまで何度でも挑み続ければ良いだろ」

「……うん」


 治療を終えたアリスは立ち上がりテオの前へとやってきた。


「ありがとう」

「何がだ?」

「慰めてくれているんでしょ?」

「そんなわけないだろ」

「え……?」


 慰めに来たと思っていたアリスだったが、テオの一言に顔を向けた。

 ならどうして来たのかと。


「逆に聞くが慰められて嬉しいか?」


 首を横に振るアリス。


「嬉しくなんかない」

「だろ? ただ俺が言いたいのは――「良い戦いだった」それだけだ」


 目を見開かせるアリス。

 そしてアリスアハ小さく呟いた。


「ありがとう」

「おう」

「次は勝って見せる」


 ギュッと拳を握りしめ、強気な瞳でそう宣言するアリス。


「その意気だ」


 そうして少し話をしたテオとアリス。


「そうだ。この後は表彰式だから行って来るわ」

「わかった。俺は先に席に戻ってる」

「ええ」


 アリスと別れたテオは誰も居ない場所まで来るとパチンと指を鳴らす。

 するとどこからともなく一人の黒衣を纏う人物が現れた。


「お呼びでしょうか?」

「様子はどうだ?」

「はっ。現在周囲に怪しい人影は見当たりません」

「そうか。ご苦労。警戒を怠るなよ。以上だ」

「御意」


 そう言って闇に溶けるかのように消える人影。

 その後、テオは何事も無かったかのように観客席へと歩き出した。


「遅かったなテオ?」


 戻ったテオに話しかけてきたのはヴェルだった。


「すまんすまん。もう始まったか?」

「丁度な。早く座れ」


 ヴェルに促され席に座り、闘技場の中央を見る。

 司会が何かを言っている。


『今大会、ミッドガルズ魔剣学園大会の覇者となったのは三年生のシスティール選手だぁぁあああ!』


 司会のテンションは絶好調のようだ。

 観客に座る生徒達も視界に合わせて叫んでいる。


『続いて二位となったのは、決勝でシスティール選手と熱い試合を見せてくれたアリスティア選手! 惜しくも二位となったが、その腕前は本物! 一年生でこれだけの成績を収められた。二年での大会も注目だ!』


 続いて三位の発表となった。

 台に立つのは短い金髪を靡かせ、爽やかな笑みを浮かべる青年だった。

 恐らく二年生だろう。


『三位となったのは、誰もが知る鬼才。鮮やかな剣術は学園一! ミハエル選手!』


 ふさぁ、と髪を靡かせ、聞こえてくるのは黄色い声援。

 ミハエルには女性のファンが多い。


 学園にはファンクラブもあるくらい、人気の人物だ。

 代わりに男子からは敵視されている。


 が、実力では本物なので誰も何も言えないのである。


『それではこの三名に大きな拍手を!』


 会場が割れんばかりの声援と拍手が闘技場を満たすのだった。







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