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大会では上手く負けよう

「勝たせてもらうっ!!」


テオへと向けて振るわれる剣。

それをギリギリという感じで受け流し、テオは剣を振るった。


「あっ、がっ……!?」


テオと対峙した者は闘技場の地面へと倒れた。

息を荒くして剣を掲げるテオに応じて闘技場が歓声で湧いた。


現在のテオの成績は中の下といった感じとなっていた。


(そろそろ頃合いか。次の対戦相手で負けとくとしようか。これ以上は目立てないからな)


観戦席に戻ったテオ。


「お疲れ様」

「ああ。なんとかギリギリって感じだった。みんな強いな」

「そうね。でもまだまだなんだから勝ちなさいよ」

「努力するよ」


ヴェル達も勝ち進んでいる様だった。

それからテオのクラスは順調に勝ち進み、半分以上に入った。

だが後半になっていくにつれて負けていく人が続出してきた。


そしてテオも中の上辺りで負け、テオのクラスでは残ったのはアリスのみとなった。


アリスはその後も順調に勝ち進み遂に決勝へと進出した。


「凄いなアリス」

「テオが情けないのよ。全く……」

「ははっ、返す言葉もないな」


苦笑いを浮かべるテオ。


「にしても次の相手は……」


ヴェルの言葉にアリス対戦相手の名前を言った。


「システィール・クレバンス。あの一昨年に開催された王国魔剣大会で優勝した人ね」


王国魔剣大会は数々の猛者が参加する魔剣大会だ。

猛者が蔓延る大会で優勝するほどの実力の持ち主。

舞のような華麗な剣技とスピードで敵を倒す彼女に付いた二つ名は【舞姫】。


「相手に不足無しね」

「頑張ってねアリスさん!」

「ええ、勝ってくるわ」


リーリアの声援に強く応えたアリスは、選手控え室へと向かって行った。

しばらくしてアナウンスが入った。


『それでは大会最後の試合、決勝戦の始まりです! それでは両名、入場してください!』


闘技場は観客の歓声で包まれアリスとシスティールが姿を現した。

司会の説明が入る。


『Aゲートから入場するのはあの【剣聖】であられる第一王女、フェリシア様の妹、アリスティア選手! 王女でありながらもその腕前は学園一か!? 決勝戦ではどんな戦いをしてくれるか期待です!』


アリスの姉であるフェリシアは世界でも屈指の実力者であり、圧倒的な剣技は世界一とも謳われ、付いた二つ名が【剣聖】。

剣聖と言われるほど、アリスの姉であるフェリシアは強いのである。


そしてアリスの紹介が終わりシスティールの紹介となった。


『Bゲートから入場するのは一昨年の王国魔剣大会で猛者を相手に優勝したシスティール選手! 舞の様な戦いをする彼女に付いた二つ名は【舞姫】! 今決勝では王女相手にどの様な戦いを魅せるか注目です!』


金髪を靡かせ青く澄んだ瞳をする美少女、システィール。

今、両者が対峙した。


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