テオの姉
――翌日。
学園に向かったテオだが、その隣には姉であるセシルの姿があった。
普通に家を出たテオであったが、後ろを付いてきていたのだ。
「姉さん」
「何、テオ?」
「どうして俺と一緒に?」
いつもなら一人で先に行っていたセシルだ。
そんなセシルが珍しくテオと一緒に登校していたのだ。
「別に。今日は何も何もないからゆっくり行きたかっただけよ。何か問題でもあるってわけ?」
「そんなことないよ。でもさ……」
テオは周囲に視線を向けた。
周りは学園も近いこともあり、同じ制服を着ている生徒の姿があった。
そんな生徒達から聞こえる会話の内容は……
「見て、セシル様よ」
「ほんとだわ」
「三年生にして名だたる先輩達を降し、座学や実技など全ての部門で主席を収めている凄い人よね」
「憧れだわ……」
羨望の視線がセシルへと向けられていたのだ。
他にも男子達の会話も聞こえてくる。
「見ろ、セシルさんだ」
「美人なうえに強いって、憧れるな」
「だよな。でもセシルさんの隣を歩いているやつって……」
「知ってるぜ。秀才な姉と妹に比べて平凡だって。強い魔剣士を輩出してきた家系なのに、長男があれじゃあな……」
そんな会話が聞こえてくる。
テオはいつもセシルとエリナと比べられているのだ。
「気にしないの、テオは私の可愛い弟でもあってエリナの兄なのよ。それに長男何だからもっとシャキッとしなさいよ。私が恥ずかしいじゃない」
「ご、ごめん姉さん」
謝るテオにセシルは「テオも周りの事なんて気にしないでいいのよ」と微笑んだ。
心が強く出来る姉を持ったと、テオは思った。
テオ自身は全く周りの目を気にしてはいない。
寧ろ自分の実力がバレていないことが分かり、一安心だった。
セシルと別れたテオは自身の教室へと入った。
「おはようテオ」
挨拶をしてきたのはヴェルだった。
他にもリーリアとヴェントもテオへと挨拶をしてくる。
「おはようヴェル、リーリア、ヴェント」
席に着いたテオに、リーリアが尋ねてきた。
「朝一緒に歩いていたのって、もしかしてセシルさん?」
「そうだよ」
「やっぱり」
「姉さんがどうかしたの?」
「……姉さん?」
リーリアにヴェル、ヴェントが頭に疑問符を浮かべている。
「あれ? 話してなかったっけ? 俺の姉だよ。家名だってオスクルだろ?」
「た、確かに。現学園の首席がまさかテオくんのお姉さんだったなんて」
「俺も驚いたぜ。なあヴェント?」
「ほんとだよ。まさか姉だったとは」
リーリアにヴェル、ヴェントはそう言って笑いあっていた。
そこへアリスが教室へと入ってきた。
「おはようアリス」
「おはようテオ。何を話していたの?」
「ああ、セシル姉さんの事だ」
「セシルさん? どうして?」
そこへリーリアが説明に入る。
「朝テオくんの隣でセシル先輩が歩いていて気になって聞いたら、お姉さんだって」
「家名が同じオスクルなんだから気づきなさいよ」
「えへへっ」
リーリアは苦笑いを浮かべ、アリスもクスッと笑うのだった。




