食いしん坊?
テオ達はそのまま学園の食堂で食事を楽しんでいた。
テオ達が通うこの学園、王都ミッドガルズ魔剣学園は貴族達の学園だ。
下は男爵から上は王家まで。
幅広い、魔剣士としての才能があるもの達がこの学園に入学していた。
同時に食堂でもその食事の階級は分かれていた。
第二王女であるアリスの食事を見たヴェルが口を開いた。
「アリスティア様の食べているそれって、もしかしてファーストクラスの……?」
「そうよ。こんなにも食べれないけど、王族が一番上のメニューを頼まなければ周りに示しがつかないと言われてね……困っちゃうわ」
「それは仕方がないですね。でも羨ましいですよ。なあテオ?」
ヴェルがテオへと同意を求めるかのように言ってくる。
「ん? そうだね。アリスが食べているその肉も、最高級の肉の部位を使ってるから、相当美味しいだろうね」
「あら、そんなに羨ましいならテオが代わりに食べる? 私はテオが食べているその食事量で問題ないもの」
アリスがそう言って笑みを浮かべていた。
「遠慮しておくよ。舌はそこまで肥えなくていいから」
「残念」
全く残念そうにしていないアリスだったが、そこへリーリアが入ってきた。
「え、ならアリスティア様、それ少し頂いてもいいですか?」
「良いわよ。どうせ残ってしまうから」
「ありがとうございます!」
アリスから色々な料理を貰っていくリーリア。
次々と口の中へと吸い込まれていく。
その様子をテオ達は唖然として見ていた。
テオは訪ねた。
「なあリーリア。その量は一体どこに入っているんだ?」
「……ん? どこって、そりゃあここだよ?」
そう言って自分のお腹を指差すリーリア。
「マジかよ……」
ヴェルが驚いた表情でポツリと言った。
恐らくその場の誰もが思っていることだろう。
リーリアが食べた量は軽く三人前はあるからだ。
「あれ? みんなどうかしたの……?」
リーリアの頭には疑問符が浮かんでいた。
そんなリーリアを見て、テオ達は笑みを浮かべるのだった。
授業も終わり、テオが帰ろうとしたところに声が掛けられた。
「待ちなさいテオ」
立ち止まり振り返ると、そこにはアリスの姿があった。
「どうかした?」
「この後時間あるかしら?」
すでにヴェル達は先に帰っておりテオ一人だけであった。
テオはこの後は何もやることがなかったので、アリスの質問に「暇だよ」と答えた。
「なら私に付き合ってちょうだい」
アリスの後に従い学園の訓練場へと向かった。
「今日の授業じゃ少し物足りなくてね」
「そう。でも俺より強い人はまだいるけど?」
「……」
訝しむ視線を送るアリス。
「どうかした?」
「テオ、本気でやりなさい」
「本気? 俺はいつも全力だよ」
「そうは見えない。だっていつも実技授業が終わった後は疲れた様子も見せないで、平然としているもの」
どうやらアリスにはそこが疑問に思ったようだった。
「ハハッ、そりゃあ毎日姉さんにシゴかれているからね。技術よりも体力だけは人一倍は付いたさ」
笑ってそういうテオに、アリスは「そう。ならこのまま少し相手して」と言われたので、テオはアリスに付き合うのだった。
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