襲撃Ⅰ
とある洞窟。
そこには武装した魔剣士や研究者がいた。
「今回も失敗か」
とある被検体を見ながらそう言ったのは、白衣に身を包んだ男。
被検体は『ア゛ァァァア!』と絶叫し、筋肉は肥大し、人間の二倍近い大きさとなっていた。
「次は投与を多くしてみますか?」
部下の提案に男は頷く。
「そうだな。次は投与する量を増やす。投薬を持って来い」
「了解です、アイク様」
去っていく部下。
叫ぶ被検体を見ながらアイクと呼ばれた研究者は呟いた。
「この研究が成功し私が認められれば、ナンバーズとして迎えると確約してくれたのだ。絶対に成功させなければ……!」
少し待つが、いつまで経っても戻ってこない部下。
いくら何でも遅すぎる。
何かあったのかと思い、歩き出そうとしたのと同時に扉が開いた。
「遅いではないか! 何をして――誰だ貴様!」
アイクは入ってきた一人の黒衣の人物を見て叫んだ。
「……何者だ? それにどうやって侵入した?」
その問いに、黒衣の人物は口を開いた。
深淵の底から響く様な声色。
「――我が名はノワール」
アイクはノワールという名前が聞いた事がなく笑う。
「ノワール? 聞いた事が無いな。どこぞの底辺組織に組する者か? それとも国の暗部の者なのかい?」
聞いたこともない名に、アイクは笑う。
「まあ良い。そろそろここにいる魔剣士も来る頃だ。君一人では終わりだ」
アイクの言葉に、ノワールは「クックック」と可笑しな人を見るかのように笑いだす。
笑われたことにイラつく。
「何が可笑しい? 君はこの状況がわかっていないのか?」
「それはこちらのセリフだ」
「なに……?」
そう言って説明をするノワール。
「逆に問おう。何故ここまで侵入できたと思っている?」
その言葉で察したアイクの表情が変わる。
「――まさか!」
そこへノワールの後からコツ、コツと足音が聞こえてきた。
姿を現したのは、誰もが黒の衣装で身を包んだ魔剣士達であった。
手に持つ剣は血に塗られている。
「ノワール様、洞窟内の敵を一掃致しました」
「わかった」
そこへグリューンが尋ねる。
「ノワール様、この者は?」
「この施設の研究者だ」
「なるほど。ではこいつがこの研究室を任されているアイクですか」
自身の名前がバレていたことに流石に焦ったのか、アイクは咄嗟に剣を構える。
「その通り、私がアイクだ」
「ドグマの構成員の一人か」
ドグマと聞いて眉を動かすアイク。
「どこでその名前を聞いた?」
「何処かって?」
応えたのはヴァイスだった。
「私達の情報網を舐めてもらっては困るわ」
「矢張り国の者だったか」
「国? 違うわね」
「……何? 国の者ではないだと?」
ノワールが口を開いた。
「我らはネグロヘイム。闇を纏い、陰を統べる者」
「ネグロヘイム? 聞いたことが無い名だね」
「それもそうだ。我らも貴様らドグマ同様、表には姿は現さない」
「ふん。陰で国を守るヒーローか何かと勘違いしているのかな? 生憎、そんな妄想はここに入った時点でもう遅いわ!」
そう言ってもう片方の手に持ったボタンを押した。
すると背後の壁が壊れ、奥からは醜くなった人間が10体現れるのだった。
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