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質問

「君に婚約者や、恋人はいないと聞いていたけれど?」

 わ、忘れてたー!!!


 そういえば、雑談をしていたとき話の流れでそんな話をしたんだった。

「ええと、婚約者や恋人ではないのですが。……私の就職先のようなものは決まっておりまして。その就職先はおそらく傷痕がないほうがいいのかなと」


 苦しいー! 言い訳が苦しすぎるよー!!

 でも、悪魔の贄になるんです(はぁと)とかいったら、本格的に心配性なリッカルド様に詮索されかねない。


「魔獣騎士科にいるのに、それ以外に就職先が?」

「ほら、リッカルド様も、魔獣騎士科ですけれど、将来は公爵家を継がれるじゃないですか。そんな感じで……」


 そんな感じで、なんだ。伯爵家を末娘の私が継ぐ予定は全くないけれど。ええと、この先を何といえばいいんだろう。しどろもどろに言い訳を探していると、リッカルド様は溜め息をついた。


「……わかったよ」


「そ、そそそそんなことより、リッカルド様、メリア様とは最近いかがですか?」

「メリア? おそらく、元気にしていると思うけれど?」

 それがどうしたの。と奇妙なものをみる目で見つめられる。

「えっ? ええと。メリア様とリッカルド様は恋人同士でしょう。だから……」


 確か、以前の生だと、この頃にはもう付き合っていたはずだけれど。

「別にメリアとはただの友人で恋人同士じゃないけど?」

「え゛っ」

 リッカルド様が、なぜか、面白くなさそうな顔をした。


 しまったー!! えっ、地雷? もしかして、私、地雷踏んじゃったかしら。今回は二人はあんまりうまくいってないのかしら。


 いえ、でも。心中するまで追い込まれていた二人だもの。その運命的な愛の絆が育まれないわけないわ。


 私は、一つ深呼吸するとリッカルド様を見つめた。

「……リッカルド様。メリア様とリッカルド様は運命に結ばれたお二人です。だから、必ず上手くいきますよ」


 上手くいかせてみせる。二人が想い合うのを引き裂かない。今度こそ、リッカルド様の笑みを守りたい。


「運命……ねぇ」


 ものすごく、胡散臭いものをみる目をされてしまった! そうだよね。そんなこといわれたら、そんな目したくなるよね。でも、本当なのだ。

「僕は、運命は信じないんだ」

「……左様ですか、ええと、じゃあ」


 これで。と、立ち去ろうとした腕を掴まれた。

「そんな僕が、ただの友人である君をこんなに気にするのは何でだと思う?」

 知らんがな! と叫びたくなったのを必死で抑えこむ。

「ええと、私が自分のことを蔑ろにしてるからですよね」


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