反省
ど、どどどどういうこと?
驚きすぎて、何回も手紙に目を通した。
でも、何度読んでもリッカルド様の名前だった。
「……あ」
昨日言っていた、私の行き着く先を変えてみせるという話。絶対無理だろうな、とは思ったけれど、まさか、これ?
それにしたって、手を回すのが早すぎない?
「……どう、しよう」
婚約は解消できるだろうか。いや、解消するのだ。だって、未来の公爵の婚約者となるのだったら、魔獣騎士科に通うことなど許されるはずもない。でも、魔獣騎士科に通わなければ、私は魔獣の心臓を集めることができないのだ。
リッカルド様も本気ではないだろうし。
自分を蔑ろにする私が、気にくわなくて、ちょっと驚かせようと思っただけ。
それならば、私が反省した風を装えば、この婚約は解消されるんじゃないかしら。
うんうん、そうに違いないわ。
とりあえず、リッカルド様と話し合おう。
もう一度、鏡でおかしいところがないか、確認して男子寮を訪ねようとすると、その道の途中でリッカルド様とであった。
「やぁ、婚約者殿」
リッカルド様は悪戯っぽい笑みを浮かべた。そんなリッカルド様に話を切り出す。
「リッカルド様、その件についてなのですが……」
私はわざとらしく反省した風を装い、リッカルド様に話した。まさか、ここまでリッカルド様がするなんて思わなかったこと。そこまでされて初めて自分が愚かなことをしていたことに気づいたこと。
そして、自分を大事にすること。
だから、この婚約は解消してほしいこと。
「反省は、したんだね」
リッカルド様が満足そうに笑う。
「……はい」
「それで、僕たちの婚約の件だけれど──……だね」
「え?」
「無理だね。だって、僕の両親がとっても乗り気だから」




