アメリカ艦隊の憂鬱2
アメリカの憂鬱です。
ここはアメリカ太平洋艦隊総司令部の真珠湾。
・・・だが沈没した戦艦の引き上げ作業の騒音の他は寂しい港湾となってる。
出撃した空母艦隊が帰って来ないのだ。
ミッドウエー基地も降伏し作戦はわが軍の敗北に終わったそうだ。
傍受班が敵の無電を突然傍受出来なくなったと言うのも不思議だ。
艦隊は帰らない。
スプールアンスも行方不明でおそらく戦死したのだろう。
ああ、スマン。私の名はウィリアム・ハルゼー・ジュニア中将。
ミッドウエーに出撃寸前に皮膚病で入院しスプールアンスと交代させられた生き恥男だ。
医者はまだ入院しろ!と騒ぐが我が海軍の危機。
寝てられるか!!
俺様は早速退院し、痒い皮膚をボリボリしながら主の居なくなった艦隊司令部に出頭。
即座にホットラインを本国の白亜の館に繋ぎ大統領閣下に報告。
「偉大なる大統領閣下、ウィリアム・ハルゼー・ジュニア中将です。
残念な報告ですが、我が機動部隊はジャップ艦隊に敗北。
スプルーアンス提督を始め総員戦死した模様です。」
「ハルゼー、冗談はよしたまえ!」
「いいえ、ジョークではありません。ミッドウエー基地からは降伏の無電が入り以後途絶。
艦隊は全て壊滅です。作戦は完全に失敗しました。」
そう言うと大統領は黙って受話器を置いた模様。。
威勢の良い報告ならまだしも、艦隊が壊滅。
今や太平洋はジャップの海になったのだ。
しかしどうやって立て直しをすれば・・・。
大統領では無いが、自分も頭を抱えてしまった。
チェスター・ニミッツ大将の居るSF海軍司令部にも連絡。
チェスター・ニミッツ大将も既に大統領から通達があったらしく、自分にハワイを任せる。
それだけであった。
彼もさすがにショックを隠せないのであろう。
まさか壊滅とはな・・・。
巨大なナグモ艦隊に対抗するのは一年、いや二年はかかるだろう。
それまで太平洋はジャップの庭となるのだ。
空母や戦艦が再建出来る日まで潜水艦でジャップの足を止めねば・・。
ハルゼーは空っぽの泊地を眺め溜息を吐くしかなかった。。
ハルゼーさん、皮膚病なのに寝てる暇も無くなりました。