青白い顔
青白い顔だった。
自分を鏡に写しているのに、
こっちを見ているのは、
年老いて、縮んだ青白い顔。
前世で兵隊に行った時に、
爆弾で引きちぎられた仲間の腹を、
こんな顔で見ていた奴がいた。
いや、こんな顔しかなかった。
今も毎日、千切れた腹を見るのか。
だから、縮んだ青白い顔になるのか。
気づかない内に、血の気も失せて、
鏡の中で暮らす男。
初めからそうだったわけじゃない。
子供の頃は血色もよくて、
豊頬の美少年と呼ばれたらしい。
どこでどう道を間違えたのか。
青白い顔は今朝からずっと、
こっちを見ている。
しばらく消えないんだろう。
生きている間なら。