ゲーム内の友達
ログアウトをして布団に入ってもなかなか寝つけなかった。
あの後メロンさんと『友達』になったこと。一緒にスライムやゴブリンを倒しながらレベル上げをしたこと。スライムが3びき出てきた時は大変だったこと。二人で逃げようとしたら回り込まれたし、ヘトヘトになったメロンさんはやくそうを持っていなかったこと。僕が手渡したやくそうを「ありがとう」と膝に手を置いて飲んだあと「苦っ」と言ったこと。 僕のターバンを見て「あたしも欲しい」と言い、防具屋でターバンの色選びに10分以上かかったこと。
なぜ『かろり』という名前なのと聞かれ、朝寝坊した時用に置いてあるカロリービスケットをたまたま思い出したからと答えたこと。
「なんでメロンさんは『メロン』さんなんですか?」
「メロンが好きだから。ただそれだけ。ひねりがまったくないの。へへ」
と言った声がとても僕は好きだったこと。
明日18:00にまた一緒にゲームをしようと約束したこと。
そんなことを電気の消えた真っ暗な部屋の天井を見つめながら思い返した。目を開けていても真っ暗で、目をつぶっても真っ暗なままいつの間にか眠っていた。
18:32。
「ごめん、かろり。遅れちゃった」
脳内チャットを通してメロンさんが話しかけてきた。
「待ったでしょ? ごめんごめん」
「いや、僕も今インしたばっかです」
実際は時間つぶしに村長の書斎にある『冒険の手引き書』を読んで知識を積んでおこうとしていたけど時間ばっかりが気になって全然頭に入らなかった。そして遅刻した理由というか、メロンさんは現実世界では何をしている人なのだろうと思った。聞けなかったし、僕は実際は高校二年生ということも言わなかった。言えなかった。
「村の入口に集合ね」
そう言われ村の入口に向かうと大勢のプレイヤーの中で、飛び跳ねながらこっちに手を振るメロンさんの姿が見えた。僕はというと、小さく手を振り返した。少し恥ずかしかったから。
僕たちは、ルアに呪いを解くムーンフラワーを摘みに山に向かった。今日はメロンさんはやくそうを5つも持ってきていた。




