表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メロンさんに会うために  作者: かろりんぺ
3/39

小雨の降る草原で

 やくそうを2個買ったらもうゴールドはほとんど残っていなかった。さっきまでは晴れていたのに空には灰色の雲が覆い、そして動いていた。手に届きそうだった。


 よし。


 僕は村の外へ出て魔物と戦ってみることにした。村の中ではあいかわらずたくさんのプレイヤーがあっちに行ったりこっちに来たりとにぎやかではあった。

 村ののどかなBGMを聴きながら僕は一歩村の外へ出た。右手にこん棒を持つ。


 BGMが変化した。ゆるやかな傾斜のある広大な草原。降り出した小雨に草の匂いがよりいっそう感じられた。

 そしてあちこちでプレイヤーが魔物と戦っていた。斧を重そうに振りかざす女性や素手で殴る男性、一撃で魔物を倒し、落としたゴールドを腰の箱に入れている者、なかには「いてて」と言って村に戻っていく者もいた。

 その時僕の後ろからポワンポワンと音がした

 振り返ると緑色のスライムが跳ねながら僕に向かってきているところだった。大きかった。バランスボールほどの大きさのスライムが一段と大きく飛び跳ねた。僕は尻もちをついた。

 BGMが切り替わった。それはわかったけど、その時には僕はスライムの体当たりを受けた。本当にバランスボールのように弾力があって僕は背中を地面に打った。

 びっくりした。そして恐かった。空中に数字が浮かんでいる

 HP12/15

 一瞬で判断した。ダメージ3だと。そんなふうに頭で思ったわけではない。判断した。

 僕はこん棒を両手で持ってかまえた。野球は下手だけどそんなかまえになった。スライムはプルプルしたまま様子をうかがっているようだった。よし。

 おもいっきりこん棒を振った。手ごたえはあったけど反動でこん棒が少し押された。

 緑色のスライムは緑色の草原を転がった。転がりが治まるとまたポワンポワンと僕のほうに向かって来た。僕はもう一度こん棒を振った。またもしっかりとスライムにヒットした。だけど手が滑ってこん棒を投げ出してしまった。

 スライムは転がっていき、ポワンと消えた。

 自分の息遣いを感じた。疲れたわけではない。驚きと緊張と恐怖に僕は息切れしていた。草原のBGMに戻っても僕はその場に立って動けなかった。腕には擦れた草と泥が付いていた。


「大丈夫? はい、これ」


 それがメロンさんとの出会いだった。メロンさんは僕にこん棒を手渡し、にこっと笑った。

 昨日の、小雨の降る草原でのことだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ