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メロンさんに会うために  作者: かろりんぺ
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昨夜のこと

 昨夜のことだ。

 夕食やお風呂を済ませた後、僕はまた部屋にこもった。夕食のカレーライスはほとんど噛まずに飲みこみ、風呂は髪にシャンプーをし、その泡で体を洗った。湯船には流し残った泡が浮かんでいた。

 髪も乾かさず部屋の鍵をかけすぐにトラあなにログインした。


 ラーンの村。一番最初の村。

 昨日はトラあなの発売初日でサーバーの接続障害もあったし、何よりこのゲームのプレイの仕方がわからなかった。二日目の今でも分からないけど。

 本当に大勢のプレイヤーがいて、まるで花火大会の人出のようだった。それは言いすぎか。

 話し声もすごかった。

「おお、なんだよこのゲーム。現実そのままじゃん」

「あそこの宝箱取った?」

「お~い、こっちこっち」

「やくそう意外とうまいな。苦いと思った」

 僕は村長に会いに行こうと思った。

「村長に会いにいけばいいっぽいよ」

 そんな話声が聞こえたからだ。


 村長の大きな屋敷にたくさんのプレイヤーが向かって行く。すると、そのプレイヤーたちが突然消え、また現れるプレイヤーもいた。僕も村長の屋敷内に入った。周りの人達が消えた。

 ムービーイベント的なものか。そう思った。


 村長の屋敷の中はほとんどが木で造られていた。壁には剣が飾ってあったし、重そうな鎧も置かれていた。

 僕はメイドに話しかけた。少し緊張した。

「あの、そ、村長さんは?」

 どこにいますか?が言えなかった。

「あらこんにちは。村長さんならそのドアの奥よ。用があるなら静かに入ってね」

 僕は木製のドアをノックした。2回にしようか3回にしようか迷ったけど2回にした。

「どうぞ」

ドアの奥から声がした。僕はそっとドアを開け中に入った。

 村長は僕に顔を向けずにベッド越しに立っていた。近づくとベッドにはブロンドの女の子が寝ていて、額にタオルを当てていた。目をつぶっていて息遣いが苦しそうだった。


 その少女は『ルア』と言うらしい。お昼に山に咲くお花を摘みに行ったところ、魔物に噛まれたらしい。その魔物は山に住む主のような存在で、噛まれるとそのうちミイラになってしまうのだそうだ。

「わしの誕生日にあの山のお花をとルアは内緒で……ううう……。旅のおかた。たのみがあるのじゃ。あの山の山頂のどこかに、月に照らされた間だけ咲くムーンフラワーという花があるそうじゃ。それを煎じて飲めば魔物の呪いが解けるという。わしはもう歳じゃ。村の者も腕に自信があるやつはおらん。どうかムーンフラワーを摘んできてはくれまいか?」

「あ、はい」

 僕は小さくうなずいた。べつに嫌なわけじゃない。ルアを助けたい。でも恐かった。僕は今までケンカもしたことがないし、ましてや魔物と戦ったこともない。

 僕は村長の部屋を出た。メイドは台所でお皿を洗っていた。旅のヒントにならないかと書斎を見ようと思った。

 書斎にはいくつもの本棚にたくさんの本が並んでいた。部屋の奥の壁に小さな写真が貼ってあった。笑顔で笑うブロンドの女性だった。裏を見ると『ランラン』と書かれていた。

 村長の屋敷を出るとまたたくさんのプレイヤーが現れた。


さてどうしようか。


 僕は村長から受け取ったゴールドでこん棒とターバンを買った。武器屋のおじさんが装備を教えてくれた。鏡で自分の姿を見たら現実の僕の姿じゃなかったから変な感じもしたし、ターバンを巻いてもらって冒険者って気にも少しはなったけど恥ずかしかった。



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