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メロンさんに会うために  作者: かろりんぺ
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座礁船2

「それで結局鉄くずはどこにあるんだ?」

 そうだった。僕たちは金策のために鉄くず拾いにやってきたんだ。でも、もしかしたら海賊船だから、お宝なんかがあったりするかもしれない。

 僕はまささんから航海日誌を受け取ってもう一度読み返してみた。他の3人はまた室内を探し出した。

 キャプテン・ロウズ。彼はいったいどんな気持ちでこれを書いたのだろう。船員たちとの絆、船という生き場所、愛する人への想い。おや?

 ペラペラとめくっていると、最後のページの手前で紙がひっかかった。そこにすすれた写真がはさまってある。手に取り見てみると、若い女性の笑った写真だった。

 どこかで見たことがあるような……。

「お~い、宝箱があるぞ」

 まささんの前にはクーラーボックスほどの苔まみれの宝箱があった。

「え? これだけ? もっとお宝入ってるんじゃないのかよ」

「このブローチがもしかしたら高く売れるってことじゃねーか?」

「でも、なんだか気が引けるな」

「そうですよね。船長の大事な宝物かもしれないし。」

 3人の話し声を聞きながら考える。この写真の女性……あ!

「そのブローチ貸してください」

 僕はまささんからブローチを奪い、

「さ、行きましょう」

 と言ってドアを出た。


 船底の開いた穴から外に出ようとしたときだった。

「おい。お宝を置いていけ。この船は今から俺たちのものだ」

 海賊服を着たガイコツたちが船の出口をふさいだ。

「この船はこのわし、キャプテン・ミクロ様のものとなるのだ~」

 5体のうちの中央のひときわ大きいガイコツが歯をカチカチさせながら言い、ガイコツたちが襲って来た。

「来たな魔物め」

 1体のガイコツ子分がミズキさんに向かって骨を投げた。

「いたっ」

 ミズキさんの魔法のぼうしがはじけ飛んだ。まささんがミキサークローで応戦する。

 僕はみんなに「マモロ」をかける。2体を倒し、疲れているマシンさんに「フーワ」を唱える。「あり」とマシンさんは言ってまたオノで攻撃した。

「おのれ~」

 キャプテン・ミクロは怒り出した。両手の剣を回転させながらまささんに襲い掛かる。まささんの体が船壁に吹き飛び、鈍い音を立てた。なおもまささんに襲い掛かる子分が剣を振りかざした。

 回復が間に合わないと判断し、僕はまささんをかばった。

 背中が熱い。僕は切られたのか?

 マシンさんが子分を倒す。「大丈夫?」とミズキさんが僕に駆け寄ってきた。「大丈夫です」そう言って僕はやくそうを飲んだ。少しだけ切り傷がやわらいだ。

「ジュジュマ」

 ミクロに向かってミズキさんが魔法を唱える。炎のかたまりがミクロを包む。

「効かぬわ」

 ミクロがまた歯で音を鳴らした。大声で笑っている。マシンさんがまささんを横目で見た。

「まさ、行くぞ」

「あいよ」

 二人が駆け出した。木の床がギシギシと鳴る。

まささんが「サンダークロー」を放ち、ミクロに電光が走る。そこへすかさずマシンさんが「脳天割り」と言ってジャンプしながらミクロの頭にオノを縦に振った。

 ピキピキとミクロの頭にひびが入って割れた。

「ふう、決まったな。これ練習してたんだよ」

 マシンさんがニヤっと笑う。かっこいい。

メロンさんもきっと強くなっているだろうな。僕もメロンさんと合わせ技やりたいな。

 船壁に背をもたれかけ、そう思った。這う虫なんか気にならなかった。


 バレットの海がオレンジ色に染まるころに僕たちは町に戻った。

「どこ行くんだよ?」

 みんなに言われながら僕はその場所に向かった。市場の人混みを抜け、おしゃれなドリンクショップの前を通り過ぎる。

 潮で風化した木製のドアを開ける。「いらっしゃいませ」は聞こえない。

 4人掛けのテーブルに着く。奥には今日もおじいさんたちが酒に酔い、薄暗い店内はどんよりとしていた。

 白髪のおばあさんが無言で水を4つ置き、その場で立っていた。

「あの……北の海岸にある座礁船に行ってきたんです」

 僕はおばあさんに向かって言った。細く虚ろな目でおばあさんは見ていたけど、そのままだった。

「これ、北の座礁船で見つけてきたんです」

 写真を見せる。そのときおばあさんの目が大きく開いた。僕は続けた。

「海賊船の船長室にあったんです。航海日誌にはさまっていました。もしかしておばあさんは『エミリア』さんですか?」

 おばあさんは震え出した。そして奥にいた酔いつぶれていたおじいさんたちが動き出し、言った。

「せ、船長……。船長が……。船長~」

「キャプテン・ロウズ。ロウズ船長は亡くなっていました」

「おお……船長…せ…。キャ、キャプテン……」

 おじいさんたちはテーブルに突っ伏した。

「またいつか一緒に航海しようと航海日誌に書いてありました。そして、エミリアさん。船長がこれを」

 僕は白髪のエミリアさんにひまわりに似たブローチを見せた。エミリアさんはしわくちゃな手でブローチを手に取りつぶやいた。

「ロウズ……ロウ……ズ」

 僕たちがお店を出ようとすると、船員だった一人のおじいさんが海賊船で使っていた『釣りざお』をくれた。帰り際に見たエミリアさんは、航海日誌にはさまっていた写真のように、ひまわりに似た笑顔で「ありがとう」と言った。その後ろの棚に飾ってある『ロウズ』さんの写真。キャプテン・ロウズ。

 外の日は落ちていた。


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