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メロンさんに会うために  作者: かろりんぺ
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下山して

 ブルーニャ山を下りる。途中の小穴を見てメロンさんが言った。

「この穴はルアが魔物に会わずに山頂まで行くためのルートなんだね。でもいったいどうやって造ったんだろう、このトンネル」

「そうですね。元からあったのかもしれないし、ランランさんの力でできたのかもしれないし。まあ、そこは謎のままでいいのかもしれませんね」

「そうね」

 僕らはなんとなく言葉少なめに歩いた。僕がジェイドの立場だったらどうするか考えてみた。愛する人が魔物に襲われて亡くなった。誰も魔物退治に賛同しなくても僕一人でいくだろう。でも、たしかに村にはいたくないな。僕も魔物に魂を売っちゃうのかな。そんなことを考えていると

「ルアって本当優しい子だよね。大人の事情はどうであれ、想いを伝えようと素直にお花を摘みになんか行っちゃって。かろり、走るよ。早くムーンフラワーをルアへ届けてあげよう」

 変な走り方で坂を走っていくメロンさん。メロンがゴロゴロと坂道を無邪気に転がっていくように見えた。


 村長の屋敷に到着する。メイドがメロンさんの手に持っているムーンフラワーを見て

「村長。旅のおかたがムーンフラワーを持ってきてくれましたよ」

 と言いながら、ルアが寝ている部屋に入っていく。村長が部屋から出てきてドアを閉めた。

 メイドが台所でムーンフラワーを煎じて調合している間、僕とメロンさんはダイニングキッチンのテーブルに腰かけて村長と話をした。やかんから沸騰する音が聞こえる。

「そういうことがあったのか。そう、わしはあの時山の主の討伐を断った。自分の娘がやつの手によって殺されたのにもかかわらずじゃ。実はわしもまた山の主と契約を交わしていたのじゃよ。山の主は自分をこのままほっとけば村の者を魔物たちに襲わせないと」

 僕は何も言えなかった。村長が続ける。

「わしはこの村を守りたかった。村長として。そして実際何年間も魔物が現れない平和な山だった。数年前まではな。」

 台所でメイドが言った。

「村長。ムーンフラワー茶ができました。ルアに飲ませてきます」

「よろしくたのむ」

 そしてまた僕たちに話し始めた。

「ジェイドにはわしに変わって村長になってもらいたかった。そしてランラン。自分の娘が殺されたというのに……ううう。わしは。わしは」

 村長は泣き崩れた。

「おじいちゃん」

 声のほうにはメイドと一緒にルアが立っていた。

「おそくなっちゃったけど、お誕生日おめでとう」

 その小さな手にはムーンフラワーに似た、黄色いお花の折り紙を持っていた。

「布団の中でこっそり作ったの。本物じゃなくてごめんね」

 ルアは村長に向かって手渡した。

「ルア……」

 村長は泣きながらルアを抱きしめた。


 ルアの体調はすぐに良くなった。ルアはブルーニャ山の山頂の絵を描いた。きれいな月の下に石のお墓。お墓の上にはやさしい顔をしたコウモリ。そして3つのお花。そして僕に小声で

「おにいちゃん、あのおねえさんのこと好きなの?」

 と言った。メロンさんは村長とまだ話していた。僕が驚いていると

「ないしょにしてあげる」

 と笑って、ルアはメイドのところへ行った。

「さ、かろり。行こうか」

「え? どこに?」

 すると村長が代わりに行った。

「この前貿易商がこの村にやってきてな。どうやら各地で魔物の行動が活発になっているそうじゃ。その貿易商はササラ海岸の先の『バレット』という港町からやってきたと言った。そこへ行けばこの世界が今どうなっているのか、それともしかしたらあなた方の旅の目的もわかるかもしれん」

「そういうこと」

 メロンさんはテーブルのコーヒーを飲み干し、鉄のツメを装備した。


 村長の屋敷を振り返ると、村長とメイド、そして口もとに指を一本立てるルアが僕たちを見送っていた。

「ルア、なんで『しーっ』ってしてるんだろ」

 メロンさんが不思議そうに言ったけど

「なんでしょうね」

 と僕はごまかした。

 時間を見ると現実世界は1:36を示していた。

「え。もうこんな時間? もう寝なきゃね。また明日にしよう、かろり」

「そうですね。また明日インしますか?」

「うん。何時になるかわかんないけど」

 実際に時間を見たからか、メロンさんはあくびをした。僕もつられてあくびをした。

『おにいちゃん、あのおねえさんのこと好きなの?』

 ルアの言葉を思い出した。


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